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ボディソープと石鹸、肌にやさしいのはどっち?成分の違いと選び方も解説!

 

肌荒れに悩む女性の写真

by photo AC

入浴後に肌がカサカサしたり、痒く(かゆく)なったりする乾燥肌や
敏感肌の人にとっては、すっきりしたくて入ったお風呂なのに、
返ってストレスになってしまいますね。

入浴で肌が荒れてしまうのはボディーソープが肌に合っていないせいだから
石鹸にしてみようなどと、いろいろ考えてしまうのは、実は、ボディーソープと
石鹸の正体が分からないからなんです。

わたしもお風呂上りの肌のつっぱりが不満で、肌にやさしいボディーソープや
石鹸を求めていろいろ使ってみた経験があります。

なので、今回は、ボディーソープと石鹸の成分の違いを明らかにして、
本当に肌にやさしいのはどっちなのかをお伝えしていきます。

さらに、肌にやさしい洗浄剤の選び方についても解説していますから
参考にしてくださいね。

 

ボディソープと石鹸、肌にやさしいのはどっち?

石けんとボディーソープの写真

実は、肌にやさしいのはボディーソープとも、石鹸とも決めることができないんです。

つまり、ボディーソープでも、石鹸でも、含まれる原材料によって肌へのやさしさが
決まるんですね。

ざっくりといってしまうと、ボディーソープ、石鹸によらず、肌にやさしいのは
主成分が天然油脂のものなんです。

もちろん、液体か、固体かによって決まるものでもありませんよ。

それでは、もう少し詳しく解説していきますが、ボディーソープと石鹸について
知っていてほしいことがあるんです。

まず、原材料についてですが、石鹸は天然油脂を主成分にした「固形石鹸」の
一種類だけですが、ボディーソープは主成分の違いからニ種類に分かれます。

ボディーソープの二種類とは、天然油脂を主成分にした「液体石鹸」と、
石油を主成分にした「合成洗剤」です。

天然油脂とは

天然油脂のことを簡単にいってしまうと動物や植物の油のことです。ただ、石鹸の原料として使える油は限られていて、牛脂、パーム油やヤシ油などです。

 

表にまとめるとこんな感じです。

石鹸 ボディーソープ
状態 固体 液体
名称 固形石鹸 液体石鹼 合成洗剤
原材料 天然油脂(パーム油など) 天然油脂(パーム油など) 石油

また、石鹸やボディーソープなどの洗浄剤は肌の汚れを落とすのが役割なのですが、
香りや彩りなどの使い心地を良くするための添加物が加えられていることが多いです。

しかし、香料、着色料、酸化防止剤、合成界面活性剤などの添加物には
肌に悪い刺激となってしまうものがあるんですね。

なので、肌にやさしい洗浄剤を選ぶならば、ボディーソープか石鹸かではなく、
主成分が天然油脂で、添加物の入っていないものということになります。

それでは、これから、ボディーソープと石鹸の成分の違いを明らかにして、
肌にやさしい洗浄剤の選び方を、詳しくお伝えしていきますね。

 

ボディソープと石鹸の正体と違いは?

ボディーソープと石鹸の本来の姿を比較しやすいように表にしました。

そして、さらに、この表の内容を詳しく解説していきますから、
ボディーソープと石鹸の違いがはっきりと分かっていただけると思います。

 

ボディーソープと石鹸の比較表

石鹸 ボディーソープ
状態 固体 液体
洗浄剤 固形石鹸 液体石鹸 合成洗剤
主成分 脂肪酸ナトリウム
(界面活性剤)
脂肪酸カリウム
(界面活性剤)
合成界面活性剤
pH値 弱アルカリ性 弱アルカリ性 弱酸性
原料 天然油脂
(パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、牛脂など)
天然油脂
(パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリブーブ油、牛脂など)
石油
製品の成分表示 ・石けん素地
・カリ石ケン素地
・原料の油脂名の表示(オリーブ油、パーム核油など)
・油脂の成分名の表示(ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸など)
・石けん素地
・カリ石ケン素地
・原料の油脂名の表示(オリーブ油、パーム核油など)
・油脂の成分名の表示(ラウリン酸、ミリスチン酸、パミチン酸など)※主成分が30%以上の濃度では固まる性質があるため70%以上は水や合成洗剤です。
・「石けん」の文字がない。
・成分の数が30~40個以上場合が多い

 

界面活性剤と合成界面活性剤について

石鹸もボディーソープも主成分は「界面活性剤」ですが、石油などを原料
にして人工的に作った界面活性剤を、特に「合成界面活性剤」と呼んで
区別しています。

界面活性剤とは

水になじみやすい部分と油になじみやすい部分の両方の性質を持つ物質のことを界面活性剤といいます。
また、界面活性剤は洗剤の用途に使用されるほかに、食品や化粧品にも使われていて重要な位置を占めているんですね。
今ここでは、水性・油性の両方の汚れを落とすことができるものを界面活性剤といっています。

(参考資料:界面活性剤 Wikipedia)

 

 

pH値と肌との関係は?

肌の断面のイラスト

固形石鹸と液体石鹸は弱アルカリ性ですが、洗浄中に肌の弱酸性とほどよく中和
するため、必要以上に肌の皮脂膜を取りすぎてしまうことが
ありません。

それに対して、合成洗剤は人の肌の弱酸性に合わせているのですが、洗浄力が強く、
弱まりにくい特徴があるため、必要以上に皮膚の皮脂膜を洗い流しかねません。

皮脂膜とは

皮膚を守るためにできる皮脂の膜のことです。
皮膚の表面で汗腺から分泌される汗と皮脂腺から分泌される皮脂がほど良く混ざったもので、角質層の水分の蒸発を防いで皮膚の潤いを保持しています。

(参考資料:皮脂膜 Wikipedia)

 

 

原料が天然油脂と石油では、なにが違うの?

パーム油

アブラヤシの実から作るパーム油

固形石鹸と液体石鹸は天然の動植物油脂(パーム油、ヤシ油、牛脂など)を
原料にしているので、肌への刺激は少ないです。

一方、石油を原料にした合成洗剤は、洗浄力が強く、肌への刺激性も
比較的高いんですね。

なお、最近の合成洗剤のなかには、天然油脂(ヤシ油など)を原料にする
こともあります。

しかし、この場合は「天然油脂を使用」のふれこみが目的なので、実際には
石油と同様に複雑な化学合成を繰り返して作られているため、最終成分は
合成洗剤と変わらないそうです。

 

「石けん素地」、「カリ石ケン素地」とは?

固形石鹸

「石けん素地」、「カリ石ケン素地」とは固形石鹸と液体石鹸の主成分である
脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムのことを指します。

つまり、原料が天然油脂で、添加物を含まない界面活性剤のことなんですが、
「純石けん」とも呼ばれます。

合成洗剤が開発されるまで、純石けんの石鹸は、長い歴史を通して、
わたしたちの暮らしのなかに溶け込んできていることから、
肌にやさしいことは証明済みです。

なので、肌へのやさしさを優先するならば、やはり主成分が純石けんの
固形石鹸か液体石鹸を選ぶのが自然ですね。

 

固形石鹸と液体石鹸の違いは?

手にとった液体石鹸

固形石鹸も液体石鹸も主成分は天然油脂を原料にした「純石けん」ですが、
違うところは、純石けんの含まれる割合です。

純石けんは濃度が30%を超えると固まりやすくなるという性質があるため、
液体石鹸では純石けんは30%だけで、残りの70%は水や合成洗剤なんです。

なので、純石けんの濃度だけに目を向けると、液体石鹸よりも固形石鹸のほうが
濃く、洗浄力は強いといえますね。

また、液体石鹸の70%以上の成分が水なのか、合成洗剤なのかは、製品の
成分表示から見極めるしかありませんが、成分の名前から判断するのは、
研究者でもないととても難しいです。

しいていえば、表示成分の種類ができるだけ少ないものが、合成洗剤の量が
少ないと推測できます。

 

肌にやさしい洗浄剤の選び方は?

肌にやさしい洗浄剤は使い方次第で選び方が違ってきますが、
洗浄剤の本来の役割を思い起こしてみてください。

本来の役割は肌の汚れを落として、きれいにすることですから、
どんな洗浄剤が肌にやさしいのかがみえてきませんか?

そう、主成分が純石けんで、さらに添加物の少ない固形石鹸か
液体石鹸が
肌にやさしいといえるんですね。

つまり、肌の汚れを落とすという洗浄剤の役割を優先して、
肌の保湿や香りはあとで、あなたの好みのものでケアするのが
正しい方法です。

くり返しますが、肌にやさしいのは、ボディーソープか石鹸かでは
ありませんよ。。

 

添加物は本当に必要?

添加物の分子模型

洗浄剤の主な添加物は香料、着色料、酸化防止剤、蛍光剤、保湿剤などですが、
ほとんどのものは化学合成で作られていますから、
肌にやさしいものばかりでは
ありません。

最近では、天然のラベンダー精油やローズマリー精油などの香りを添加することも
ありますが、人によっては肌に合わないことがあるんですね。

なので、あくまで主成分は純石けんで、無添加のものを選べば、
肌荒れを起こしてしまうような失敗が少ないはずです。

たとえば、もし、含まれる保湿などの添加物が肌に合わなければ、
せっかく純石けんで肌をきれいにしたことが無駄になって
しまいますよね。

 

肌のケアはきれいに洗ったあとで!

わたしたちの皮膚には外からの埃(ほこり)や細菌などが付着していますし、
内側からは皮膚から出る汗、皮脂、垢(あか)で汚れます。

汚れた肌にどんな保湿液や美容液を与えても、返って肌荒れの原因になる
だけですから、肌をきれいにすることがなにより重要なんですね。

 

入浴のあとのケアは、まず保湿から!

保湿剤を塗っている女性

入浴できれいになった肌は、とても乾燥しやすく、肌荒れなどを起こし
やすいデリケートな状態になっています。

からだを拭いたあとは、まず第一に保湿のケアをしてください。

入浴後に素早く肌の保湿ができるように、あなたの肌になじんだ保湿剤や
化粧水などを準備しておくことが肝心ですよ。

 

製品の成分表示を理解しよう!

パッケージの成分表示

あなたは石鹸やボディーソープを購入するときに、パッケージの成分表示を
確認したりしますか?

成分表示は、「薬機法」によって、すべての成分を表示する義務があるものと
一部の表示だけでよいものがあります。

薬機法とは

正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」といいます。
薬機法は、医薬品や医療機器だけでなく、医薬部外品、化粧品などの定義も定め、健康食品の規制にも活用されます。

また、表示方法に一定の規則がないため、原料の名前で表示されていたり、
原料の成分の名前だったりします。

ここでは、失敗することなく選べるように、固形石鹸と液体石鹸の実際の
成分表示を幾つか紹介しますね。

なお、合成洗剤の成分表示を掲載していないのは、成分の名称が専門的で、
まだ、わたしもよく理解していないためです。

ただ、合成洗剤の成分表示には「石けん」の文字がなかったり、
成分の数が30~40種類以上もある場合が多いようです。

 

固形石鹸と液体石鹸の成分表示

製品名 (仮名) パッケージの成分表示
固形石鹸 無添加 石けん 牛脂脂肪酸Na、パーム核脂肪酸Na、
水、グリセリン、塩化
オリーブ石けん(無添加) オリーブ油、パーム油
(無着色・無香料・無防腐剤)
浴用 石けん(無添加) 石けん素地
※着色料・酸化防止剤・合成界面
活性剤不使用
石けん(添加物を含む) 石けん素地、水、グリチルリチン酸2K、
ケープアロエエキス、黒砂糖、
甘草エキス、エチドロン酸4Na、
ペンテト酸5Na、BG
ソープ(添加物を含む) パーム核脂肪酸Na、パーム脂肪酸Na、
水、グリセリン、香料、スクワラン、
メタリン酸Na、酸化チタン、
塩化Na、PEG-6、BHT
液体石鹸 無添加 石けんボディーソープ 水、ラウリン酸K、ミリスチン酸K、
パルミチン酸K、ステアリン酸K
無添加 ボディーソープ 水、カリ石ケン素地、石ケン素地
無添加 泡の石けん 水、ラウリン酸K、ミリスチン酸K、
パルミチン酸K、牛脂脂肪酸Na、
ステアリン酸K、パーム核脂肪酸Na
ボディーソープ(添加物を含む) 水、ミリスチン酸K、ラウリン酸K、
パルミチン酸K、塩化K、ジステアリン酸
グリコール、シア脂、香料、グリセリン、
PEG-75、PEG-45M、EDTA‐2Na、BHT

 

まとめ

ボディーソープと石鹸のどちらが肌にやさしいのかは、よく争われている
問題なのですが、実は、どっちがいいとも悪いともいえません。

ボディーソープか石鹸かを、液体か個体かで比べるのではなく、含まれる
成分で比べたとき、はじめて肌にやさしい洗浄剤とそうでないものが区別
できるんですね。

結局のところ、肌にやさしい洗浄剤は、原料が天然油脂の「固形石鹸」か
「液体石鹸」で、さらに添加物の入っていないものということになります。

なお、固形石鹸や液体石鹸を購入するときには、パッケージの裏側の
成分表示を見て、今、使っている洗浄剤の内容が分かっていると
安心できますね。

この記事では実際の成分表示の具体例をあげていますので、参考にして
くださいね。

ただ、ボディーソープとなると成分が数十種も表示されていることも
よくありますが、そのほとんどは添加物なので、できるだけ成分の少ない
ものを選ぶと失敗が少ないです。

また、、ボディーソープも石鹸も肌の汚れを落とすのが役割なので、入浴時は、
まず肌をきれいにすることに目標を定めて、保湿などのケアは入浴後に、
あなたになじんだ保湿剤などで行うのがオススメです。

 

【参考資料】

石鹸の成分と原料について詳しく解説!(日本デザインプランナー協会)
ニーズが定着した液体ボディソープ (日本石鹸洗剤工業会)
合成洗剤と環境問題   (経済産業省)
化粧品と医薬部外品の違いは?  (国民生活センター)
石鹸とは?意外と知らない石鹸の基礎知識をわかりやすく解説(ミヨシ石鹸)

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