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シャチハタは印鑑(いんかん)じゃないって本当!?その理由と正しい使い方を伝授

印鑑を押している女性の写真
by photo AC

シャチハタも印鑑も紙に押された画像に違いはないように見えますよね。

でも、実は、シャチハタは印鑑の分類には含まれず、スタンプの仲間に
属します。

わたしの体験で、「会社から印鑑を持ってくるようにいわれたので『シャチハタ』
を持って行ったら、ひどく怒られた!」ことがあります。

その後でも、「え、シャチハタじゃだめなの?」と聞き返すようなことが
何度かあったんです。

シャチハタを印鑑と同じように使おうとしても、印鑑の代用として
例外的に限られた場面でしか使えません。

この記事ではシャチハタがどのような場面で印鑑の代わりに使えるのかを
解説するとともに、シャチハタを正しく使うコツもお伝えします。

なので、いちいち朱肉をつける必要のない便利なシャチハタをビジネスでも
プライベートでもスマートにサラッと使いこなしてくださいね。

【おことわり】

【おことわり】

普段、わたしたちはハンコのことを印鑑(いんかん)と呼んでいますが、
正式にはハンコは印章(いんしょう)といいます。

この記事では、分かりやすいように一般的な呼び方で、ハンコのことを
印鑑と呼んでいますからおことわりしておきますね。

シャチハタは印鑑じゃないって本当!?

エックススタンパー(シヤチハタ社)の写真

シャチハタは印面に名前が刻まれたスタンプなんです。

印鑑ではありませんよ!

単純に、シャチハタはいちいち朱肉を付けなくても済むからと、印鑑と同じ
ように使っていると思わぬトラブルを招きかねません。

例えば、印鑑が必要な契約書に、間違えてシャチハタを押してしまうと、
後になって契約をしなおすことになってしまいます。

印鑑の分類の仕方によっては、シャチハタを印鑑と呼べないこともない
のですが、シャチハタと印鑑は別物と思っていたほうが失敗がありません。

つまり、シャチハタは印鑑ではありませんが、例外として印鑑の代わりに
使える場面があると考えてくださいね。

シャチハタを印鑑と呼べない理由とは?

シャチハタと印鑑の素材に決定的な違いがあって、その違いのために
シャチハタを印鑑とは呼べないんです。

まず、印鑑であるためには、何度押しても同じ「印影」でなければ
ならないという必須条件があります。

印影(いんえい)とは

印鑑を押した結果、紙に写された画像のことをいいます。

印鑑を押すたびに印影が変わってしまったのでは、いったい誰の印鑑か
分かりませんからね。

そこで、シャチハタと印鑑の印面の素材を比較すると、なぜシャチハタを
印鑑と呼べないのかが分かります。

シャチハタの素材

シャチハタの印面はスポンジ状の多孔質ゴムでできているため、内部に
インクを浸み込ませることで、朱肉を付ける必要がなくなります。

つまり、シャチハタの最大のメリットはいちいち朱肉を付けなくても、
ポンポンと連続して押せることなんですね。

ところが、ゴムは変形しやすく押し付け方によっては印影がゆがんで
変形してしまう可能性が高いんです。

なので、シャチハタを印鑑と同じようには使えないんですね。

実際、銀行に届け出る印鑑について、銀行ではこのように規定しています。

「ゴム印やイモ判などは劣化しやすく、変形してしまうと、もとの印鑑と異なってしまうため印鑑照合ができなくなってしまいますので、ご使用になれません。」と。(一般社団法人 全国銀行協会による)

イモ判とは

サツマイモなどの芋を輪切りにし、その断面に図や文を彫って印刷する簡易な凸版印刷術。児童教育にも用いられる。(サツマイモ:wikipediaより)

印鑑の素材

いろいろな種類の印鑑の写真
by photo AC

印鑑である唯一の条件はいつ押しても印影が同じであることでしたから、
その印面は変形してはいけません。

なので、印鑑の素材(印材といいます)には木、水晶、金属、石のほか、
動物の角・牙などの変形しにくい硬いものが使われているんですね。

ちなみに、印材によって硬さ、見た目、価格や手触りなどが違いますが、
どの印材が優れているのかは、使う人の好みによるようです。

シャチハタの使い道は3つだけ!?

日常生活でシャチハタが使える場面は、例外的に「認印」の代用として
ほんの少しの限られた範囲内で使えるだけです。

認印(みとめいん、にんいん)とは

「実印」以外の印鑑を「認印」といいます。なお、「銀行印」は銀行に届け出た印鑑のことですが、やはり「認印」に含まれます。
実印(じついん)とは

実印とは、市町村(個人の場合)に登録して、印鑑証明を受けることができる印鑑のことです。この実印は土地や家の購入など、人生に大きな影響を与えるような書類に必要になります。

ほとんどの印鑑は認印ということになるんですが、シャチハタが認印の
代わりに使える3つの具体的な場面を紹介しますね。

① 郵便物や宅配物の受け取り

宅配物を受け取っている女性の写真
by photo AC

「宛名が間違いないので、確かに受け取りましたよ。」という程度の
意味でシャチハタが使えます。

先日、宅配物を受け取った際に「宛名に間違いありませんね?」と
確かめられただけで、印鑑もシャチハタさえも求められられない
ことがありました。

また、ネット販売のAmazonでは「置き配」という呼び方で、
玄関先に宅配物を黙って置いていくことがあるんです。

ただその場合、玄関前に置かれた宅配物の写メールがスマホに
送られてきていました。

② 社内での事務書類や出欠簿

会社内の書類で「見ましたよ。」あるいは「確認しました。」という
くらいの意味で使えます。

ただし、業務上の書類など社外に出すような書類にシャチハタを使う
ことは商業上の慣習に従い認められていません。

出欠簿では「出勤しました。」という意味で、朱肉のいらないシャチハタを
ポケットから出してポンと押すことができますね。

③ 回覧板のチェック欄

お隣りさんどうしを巡る回覧板ですが、「うちは見ましたから」という
意味でシャチハタを押して、まだ見ていないお宅を確かめるだけですね。

シャチハタの代表的な使い道は上記の通りですが、シャチハタが使える
場面をイメージしてもらえたでしょうか。

ざっくりいってしまうと、なぐり書きのサインかチェック(✓)で
済ませられるようなときに使えるというわけです。

また、シャチハタを認めるかどうかは受領する側の判断次第というのが
原則ですから、シャチハタの使い道ははなはだ不明確なんですね。

なので、シャチハタをスマートに使いこなすコツは、シャチハタが
使えないときのために、「三文判」でもよいので、一緒に印鑑を
常に携行していることです。

例えば、暮らしの中でこんな場面に出会ったことってありますよね。

「認め(認印)でいいですよ~」っていわれたので、
「シャチハタでいいですか?」と聞き返すと、
「シャチハタはちょっと~」なんて・・・

こんなとき印鑑をサッと出せたらカッコイイですね。

三文判とは

安い値段で買った商品のことを「二束三文(にそくさんもん)」の安物といいますね。その意味で、文具店や100均で販売している安価な印鑑を「三文判」 といいます。でも、スタンプであるシヤチハタに対して、三文判は朱肉を使うれっきとした印鑑です。

インクと朱肉の保存期間を比較!

シャチハタのインクと印鑑に使う朱肉との大きな違いは、印影の鮮明さが
続く期間(保存期間)です。

印鑑の朱肉の保存期間はインクとは比較にならないほど長いんです。

・ シャチハタのインク

シャチハタで押印している写真

普通、シャチハタと呼ばれているのは、シヤチハタ社のネーム印のことで、
正式には「X(エックス)スタンパー」といいます。

現在のXスタンパーのインクには顔料系の染料が使われていて、印影の
保存期間が画期的に伸びているようです。

印影の保存性について、シヤチハタ社ではお客様の質問にこう答えています。

「上質紙などへのなつ印で、ファイルなどでの通常保管(直射日光があたらないなど)であれば20年間は鮮明な印影を保持していることを確認しています。さらに長期間となりますと紙の耐久性が問題となります。」

なので、20年という印影の保存性はシャチハタの使い道を考えれば、
十分な期間ではないでしょうか。

しかし、印鑑による印影の保存性からみると十分に長いとはいえません。

なぜなら、土地や家を購入するときの実印を押した契約書などは、
もっと長い期間の保存が必要になるからです。

・ 印鑑の朱肉

印鑑で押印しているところの写真
by photo AC

一般的な朱肉は、朱色の化合物にひまし油、木蝋(もくろう)、松脂を
溶かして和紙などを加えて練ったもので、「練り朱肉」といいます。

また、和紙などで練らずにスポンジに染み込ませたインク状の朱肉を
「スポンジ朱肉」といい、スタンプ台などに使われます。

朱肉による印影の保存期間は長く、よく水墨画や古文書に押された朱肉による
落款(らっかん)は数百年を経たにもかかわらず、鮮やかな朱色が確認
できますよね。

もし、印鑑のように硬くて変形しない印材に朱肉を沁み込ませることが
できたなら、シャチハタと印鑑の区別はなくなるのですが・・・。

印影でシャチハタと印鑑が判別できる!

紙に押印された印影の写真
by photo AC    

シャチハタも印鑑も、紙に押された印影はちょっと見ただけでは区別が
つきませんよね。

いったい、どこが違うんでしょう?

・ シャチハタの印影は?

シャチハタは微細な多くの孔(あな)のあるゴム製の印面から沁み出す
インクを紙に転写しています。

そして、インクは乾燥する間に紙に沁み込んで印影となります。

そのため、印影の文字の縁(ふち)がわずかに滲(にじ)んでしまうため、
文字のエッジのシャープさに欠けるんですね。

・ 印鑑の印影は?

朱肉の粘りのある塗料を硬い印面に付着させてから紙に写します。

そのため、乾燥するのに多少時間はかかりますが、塗料の滲みは
ほとんどないため文字の縁はインクに比べてシャープです。

また、朱肉の成分により、水に溶けず、色あせもほとんどないため、
長期保存に適しているんですね。

まとめ

シャチハタはスタンプです。

印鑑ではありません。

シャチハタは印鑑ではありませんから、使い方を間違えると思わぬ
トラブルを招きかねません。

なので、シャチハタが使える場面のイメージをつかんでもらうために、
シャチハタの日常生活での3つの具体的な使い道を紹介しました。

しかし、シャチハタの使い方には明確な規定はありませんから、
シャチハタをビジネスでもプライベートでもスマートに使いこなすには
コツがいるんです。

そのコツとは、シャチハタと一緒に三文判でもいいので、常に印鑑を
携行していることです。

つまり、シャチハタではなく印鑑の押印が必要であれば、サッと
印鑑を取り出せるように前もって準備をしていることです。

また、シャチハタと印鑑の違いを、印影とインク・朱肉について
解説しましたので、両方が使えるときに、どちらかを選ぶ際の
参考になるはずです。

なので、シャチハタと印鑑を正しく使い分けてくださいね。

【参考資料】

・印鑑の種類について (関口法律事務所)
・シャチハタ (Wikipedia)
・サツマイモ (Wikipedia)
・届出印(一般社団法人 全国銀行協会)
・みんなの知らないはんこの話(ハンコヤドットコム)
・印章(Wikipedia)
・ネーム印の仕様・質問(シヤチハタ社)
・朱肉 (Wikipedia)

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