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三文判(さんもんばん)と認印(みとめいん)、それぞれの違いを知って正しく押そう!

三文判の写真

三文判は大量生産されていて、素材もプラスチックなどでできているために
安い値段で買えるんですよね。

でも、安価なのは喜べるんですが、いざ使おうとすると、ハンコ屋さんで
作った印鑑とは違って、思わぬ制限を受けることがあります。

三文判はれっきとした印鑑なので、認印として使う場合には制限を受ける
ことはありませんが、実印や銀行印として使おうとすると制限がかかって
しまいます。

なので、この記事では、三文判が認印、実印、銀行印などとは何がどう違う
のかを解説していきます。

そして、三文判の正しい使い方もお伝えしますね。

三文判(さんもんばん)とは

江戸時代に草履(ぞうり)が二足でたった三文の値段で買えたことから、数や量が多いのに非常に安いことを二束三文といいます。そのたとえから、安価な ハンコのことを三文判といいます。(参考資料:学研 四字熟語辞典より)

【はじめに】
普通、ハンコのことを印鑑(いんかん)と呼んでいますね。
でも、正式にはハンコのことは「印章(いんしょう)」といいます。
この記事では、分かりやすいようにハンコのことを印鑑と呼んでいますよ。

1、三文判と認印との違いはややこしい!?

困っている女性の写真

by Photo AC

三文判というと認印などの印鑑とは違うもののように聞こえますが、
朱肉をつけて押印するれっきとしたハンコであることに違いはありません。

ただ、ちょっとややこしいんですが、三文判はハンコそのものを指している
のに対して、認印、実印、銀行印とはハンコの使い道をあらわしています。

つまり、初めから実印という名前の印鑑はないのですが、実印として
役所に登録したとき、その印鑑は実印と呼ばれるようになるんですね。

そうした意味で、三文判を銀行に登録すれば銀行印になりますし、
書類の内容を承諾したことを示す認印として使えば、認印になります。

もし実印を銀行に登録すれば、その印鑑は実印でもあり、銀行印でもある
ことになり、もちろん認印でもあるんです。

このように、三文判は、用途や役割をあらわす認印などとは意味が違うので、
両者は比較する対象にはなりません。

ちなみに、三文判と象牙の印鑑であれば比較できますから「2つのハンコは
品格と耐久性と値段が天と地ほども違う」といえるんですね。

2、三文判は認印、実印、銀行印として使える?

安い素材を使って大量生産された三文判を認印、実印、銀行印として
使おうとすると、現実には少なからず制限を受けてしまいます。

それでは、三文判が認印、実印、銀行印として使えるのかどうか、
明らかにしていきます。

① 三文判を認印として使うには?

 

認印に朱肉をつけている写真

by Photo AC

 

印鑑と呼ばれるものであれば、安物でも高級品でも認印として使えますから、
れっきとした印鑑である三文判も認印になります。

認印(みとめいん、にんいん)とは

登録も届出もしていないハンコのことを認印といいます。ビジネスでもプライベートでも日常的にもっとも使うことが多い印鑑です。なお、登録している印鑑(実印)であっても、認印として使うことは可能ですよ。

特に登録済みの印鑑が必要な書類でなければ、役所へ出す書類や
会社での契約書や家庭で宅配物を受け取ったときに押印するなど、
印鑑の用途でもっとも使う機会が多いのが認印です。

ただし、シャチハタはゴム印で、印鑑ではありませんから、例外的に、
限られた場面でのみ認印として使えるだけなんですね。

このように、シャチハタは認印として使う場面に制限があるのに対して、
三文判ならどんな場面でも認印として使えます。

ちなみに、なぜシャチハタが印鑑ではないかいうと、シャチハタの印面は
ゴム製なので、紙に押したときの画像が力の入れ方によって変わってしまう
可能性が高いからなんです。

② 三文判を実印として使うには?

実印と印鑑証明書の写真

by Photo AC

契約書の印影が三文判で押されたものであっても、高級なハンコで
押されたものでも、その契約書の有効性に違いはありません。

しかし、普通の印鑑では了承されず、「実印」による「印影」が必要
される書類があります。

実印(じついん)とは

市町村(個人の場合)に登録した印鑑のことをいいます。用途は不動産の賃貸借契約や、自動車の売買など、人生に影響を及ぼすような契約をするときの 書類に必要になります。
印影(いんえい)とは

印鑑を紙に押したときの紙に残る朱肉の跡(画像)のことです。

その書類というのは、人生に影響を及ぼすような重大な契約書のことですが、
三文判では実印として登録できないことが多いんです。

実際に、市町村の役所では登録を受け付けてくれないことがほとんどです。

例えば、東京都の新宿区と八王子市では、登録できる印鑑の条件を
次のように規定しています。

印鑑登録のできない印鑑・適さない印鑑

  ★印鑑登録できない印鑑
   1 住民基本台帳に記録されている氏名、氏・名または氏および名の各一部を組み合わせたもので表していないもの(職業・資格等、他の事項をあわせて表しているもの)
   2 ゴム印、その他の印鑑で変形しやすいもの
   3 印影の大きさが、一辺の長さ8mmの正方形に収まるもの、または一辺の長さ25mmの正方形に収まらないもの
   4 輪郭が欠けていたり印面が摩耗して、判読が困難なもの
   5 外枠がなかったり、凸凹が逆転しているもの
   6 その他登録を受けようとする印鑑として適当でないと区長が認めたもの

 ★印鑑登録に適さない印鑑
   ・大量生産印(いわゆる三文判)や指輪印(変形しやすいため)

 ※ 印鑑の文字や、その組み合わせ等について、登録できるか疑問がある場合はお問い合わせください。

「ゴム印、その他の印鑑で変形しやすいもの」とは、ほとんどの三文判が
プラスチックでできていることと重なりますね。

また、適さない印鑑として「大量生産印(いわゆる三文判)」と、はっきり
制限されています。

登録できる印鑑

  大きさ
1辺が8ミリを超えて、25ミリ以下の正方形に収まるもの。
材質
印影が変形しにくい材質のもの。(ゴム印は不可)
刻印
住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名、旧氏(注意5)若しくは通称又は氏名、旧氏若しくは通称の一部を組み合わせたもの、外枠のあるもの。(職業、資格、その他氏名以外のことが刻印されているもの、外枠が8分の1以上欠けているもの、文字の判読が困難で印影が不鮮明なもの及び動物のシルエットや図柄等で文字の全部あるいは一部が表されてるものなどは登録できません。)

(注意4) 登録できる印鑑については一例です。詳しくはお問い合わせください。

「印影が変形しにくい材質のもの。(ゴム印は不可)」の規定の内容は、
やはり素材にプラスチックが使われている三文判を指しています。

確かに、プラスチックは熱に弱かったり、破損しやすかったり、変形する
可能性が高いですね。

上記の通り、三文判は実印として登録できないことがほとんどなんです。

また、印鑑の素材による制限のほかに、三文判は大量生産で作られますから、
同じ印影の印鑑が世の中にはたくさん流通しています。

ですから、実印を偽装した「なりすまし」を防止するためにも、複製しにくい
手彫りの印鑑を選ぶことをおすすめします。

なお、たとえ三文判が実印として登録できたとしても、人生を左右するような
契約書に押された印影を見た第三者には、三文判と同じような安っぽい人間だと
思われてしまいそうですよね。

③ 三文判を銀行印として使うには?

銀行印と預金通帳の写真

by Photo AC

銀行での預金口座の開設や預金の引き出しには「銀行印」が必要です。

銀行印(ぎんこういん)とは

窓口での預金の引き出しなどのとき、預金者本人であることを確認するために印影を銀行に届け出ている印鑑のことです。

銀行印は預金の出し入れのほかに、公共料金などの口座引き落としの
手続きや小切手や手形を発行するときなどにも必要になります。

なので、実印の次に大切な印鑑といえますが、三文判が銀行印として
銀行に登録できるのかどうか気になりますよね。

実は、銀行印としても三文判は使えないことがほとんどなんですね。

なぜなら、『一般社団法人 全国銀行協会』では、届出印について
次のように定めているからです。

届出印として使えない印鑑

・キャラクターもの等の印鑑

多数の人が同じ印鑑を持っていると、印鑑照合の意味がなくなってしまいますので、ご使用になれません。
※詳しくは各銀行にご確認ください。

・ゴム印など変形しやすい素材の印鑑

ゴム印やイモ判などは劣化しやすく、変形してしまうと、もとの印鑑と異なってしまうため印鑑照合ができなくなってしまいますので、ご使用になれません。
※銀行によって取扱いが異なります。
※詳しくは各銀行にご確認ください。

三文判という記述はありませんが、「多数の人が同じ印鑑を持っている
と・・・」や「劣化しやすく、変形してしまうと・・・」に三文判は
あてはまるのではないでしょうか。

なので、大切な預金ですから、まず安全を優先してハンコ屋さんで
あなただけの印鑑を作って銀行に登録してくださいね。

なお、銀行印について特に気を付けたいことは、通帳と銀行印を
同じ所(同じ引き出し)に保管しないことですよ。

3、三文判の正しい使い方は?

納得している女性の写真

by Photo AC

使う頻度の高い認印として、ハンコ屋さんで作った印鑑と三文判の2つを
用意して、重要度に合わせて使い分けてはいかがでしょうか。

何度もいいますが、三文判の素材はプラスチックのことが多いので、
もろくて欠けやすかったり、加熱によって変形しやすい特性があります。

また、大量生産によって作られていますから、世の中には同じハンコが
大量に流通しています。

印鑑は、あなた本人であることを証明する一つの手段ですから、簡単に
印影が変わってしまったり、誰もが同じ印鑑を持っているようでは
誰の印鑑か分からないですよね。

また、三文判は認印として使いますから、使う回数は実印や銀行印とは
比べものにならないくらい多いので、擦り減ってしまうことや落としたり
することで変形する可能性が高いんです。

なので、認印として2種類の印鑑を準備して、重要度に合わせて
使い分ける方法をおすすめしたいですね。

つまり、書類などに使う認印はハンコ屋さんで作った印鑑を使い、
宅配物を受け取ったり、回覧板を確認するときなどには三文判を
使う方法です。

ざっくりいえば、三文判のほうはどんどん使い捨てて、書類などに
使うほうは大切に使ってください。

宅配物を受け取るときなどにはシャチハタでも大丈夫なので、シャチハタを
持っていると便利ですが、場合によっては、シャチハタではなく印鑑を
求められることがあるので、そばに三文判は置いておきたいですね。

4、三文判はどこで買えるの?

三文判を展示している写真

by Photo AC

三文判を使い捨てのつもりで日常的に多用できるのは、いろいろな場所で
売っているからです。

ただ、三文判は大量生産のため、少ない苗字に対応していないのは
不便ですね。

・ハンコ屋(ほとんど置いています)
・百円ショップ(ほとんど置いています)
・文房具店(小規模の店舗では置いてないことも)

・大手スーパー・百貨店(文房具コーナーのある店舗なら置いています)
・ホームセンター(名前の知られている店舗なら置いていることも)
・書店(小規模な店舗では置いてないことも)
・家電量販店(名前の知られた大型店では置いてあることがあります)

・コンビニ(何でもありそうですが見たことがありません)

先日、近所の文房具店に三文判を買いに行ったのですが、500円のものと
1500円のもの2種類が置いてありました。

1500円のものも大量生産品だと思いますが、素材が木製で、ちょっと見は
三文判ではないようでしたから、高いほうを購入しました。

この印鑑は文字の書体が気に入っているので、書類などの認印として
使っています。

5、まとめ

三文判と認印、実印、銀行印との違いを比較するのは、ちょっとややこしいんです。

つまり、三文判はハンコそのものの名前なんですが、認印、実印、銀行印は
ハンコの使い道をあらわしているからなんですね。

なので、それぞれの違いを単純に比べることは意味がないので、
この記事では、三文判が認印、実印、銀行印として使えるのかどうかを
お伝えしています。

結論は、ほとんどの場合、三文判は実印や銀行印として登録も届出も
できません。

しかし、三文判は認印として使うぶんには何の不足もありません。

そこで、どこででも買えて、安価な三文判を便利に利用する方法を
提案しています。

認印は実印や銀行印とは比べものにならないくらい使う頻度が高いため、
1つの三文判だけですとすり減ったり、落としてしまうことも多いんです。

なので、認印として1つは三文判で、もう1つはハンコ屋さんで作った印鑑の
2つを持って、重要度に合わせて使い分けることをおすすめします。

つまり、宅配物を受け取ったときや回覧板を確認したりするときは三文判を
使い、書類などには手彫りの印鑑を使う方法です。

なお、家庭で使うときは、シャチハタで済む場合も多いですから、
三文判とシャチハタを併用すると便利ですね。

この記事では、三文判の用途の限界を明らかにするとともに、三文判を
便利に利用する方法をお伝えしました。

ぜひ、ビジネスでもプライベートでも、三文判を認印として有効に
利用してくださいね。

【参考資料】

・印章(Wikipedia)
・届出印(一般社団法人 全国銀行協会)
・登録できる印鑑(八王子市役所)
・印鑑登録のできない印鑑・適さない印鑑(新宿区役所)
・シャチハタ(Wikipedia)

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