トマトにはβ-カロテンやリコピンなどのからだに大切な栄養成分が
含まれていますが、トマトが嫌いなあなたはトマトが食べられないことを
気にしていませんか?
トマトが嫌いという人は割と多いんですが、意外なことに
トマトから作られているトマトケチャップなら食べられるという人は
少なくありません。
なので、トマトケチャップを食べて、トマトに含まれている栄養成分が
摂取できるなら、トマト嫌いを気にしないですみますよね。
今回は、トマトが食べられなくても、トマトケチャップを食べることで
トマトの栄養をどの程度とることができるのかをお伝えしていきますね。
また、トマトケチャップならではの特徴についてもお知らせしますので、
トマトケチャップを上手に使うための参考にしてくださいね。
トマトケチャップで、生のトマトの栄養がどのくらい摂れる?
トマトケチャップはトマトを主原料にした調味料なのですが、
はたして、トマトの栄養価はどのくらい引き継がれているのでしょう?
結論をいえば、生のトマトとトマトケチャップの成分を比較してみると、
トマトケチャップに加工したために減少した成分はほとんどありません。
減少した成分をあげると、水分、葉酸、ビタミンCくらいで、
そのほかの成分は程度の差はあるものの増加しているんですね。
では、どのくらい減少したり、増加したりしているのかを、詳しくお伝えして
いきますね。
下表はトマトとトマトケチャップの成分を比較したものです。
【トマトおよびトマトケチャップの比較表】 (可食部100gあたりの含有量です)
栄養素 | トマト | トマトケチャップ |
---|---|---|
エネルギー /Kcal | 19 | 119 |
水分 /g | 94.0 | 66.0 |
タンパク質 /g | 0.7 | 1.7 |
脂質 /g | 0.1 | |
コレステロール /mg | 0.0 | 0.0 |
炭水化物 /g | 4.7 | 27.4 |
食物繊維水溶性 /g | 0.3 | 0.6 |
食物繊維不溶性 /g | 0.7 | 12 |
ナトリウム /mg | 3 | 1300 |
カリウム /mg | 210 | 470 |
カルシウム /mg | 7 | 17 |
マグネシウム /mg | 9 | 20 |
リン /mg | 26 | 36 |
鉄 /mg | 0.2 | 0.7 |
亜鉛 /mg | 0.1 | 0.2 |
銅 /mg | 0.04 | 0.16 |
マンガン /mg | 0.08 | |
βカロテン当量 /μg | 540 | 670 |
ビタミンD /μg | 0.0 | 0.0 |
ビタミンK /μg | 4 | 5 |
ビタミンB1 /mg | 0.05 | 0.08 |
ビタミンB2 /mg | 0.02 | 0.04 |
ナイアシン /mg | 0.7 | 1.3 |
ビタミンB6 /mg | 0.08 | 0.07 |
ビタミンB12 /mg | 0.0 | 0 |
葉酸 /μg | 22 | 5 |
パントテン酸 /mg | 0.17 | 0.32 |
ビタミンC /mg | 15 | 9 |
レチノール当量 /μg | 45 | 54 |
食塩相当量 /g | 0 | 3.3 |
栄養素 | トマト | トマトケチャップ |
出典:日本食品標準成分表(7訂)文部科学省
トマトケチャップの原材料は
カゴメトマトケチャップは、トマト、糖類、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料です。
なお、食物アレルギーとして表示が義務付けられている7品目と表示が推奨されている21品目は含まれていないそうです。
カゴメ株式会社 商品情報より
トマトケチャップに含まれるトマトの成分と増減の程度は?
トマトケチャップの成分が、生のトマトより増えているのか、減っているのか、を
上表から確かめて、その増減の程度についてもお伝えしますね。
生のトマトより減った成分は?
生のトマトをトマトケチャップに加工することで、減少した成分は、
水分、ビタミンC、葉酸の3つでした。
ビタミンC
ビタミンCが多いとされるキウイフルーツには及ばないまでも、
トマトにもビタミンCが多く含まれています。
しかし、トマトケチャップでは製造工程で熱が加えられますから、
生のトマトの6割くらいに減ってしまうのは仕方ありません。
なお、調味料で、ビタミンCがこれほど多く含まれることは少ないので、
トマトケチャップを卵焼きなどの料理にかけて食べるのは、
からだにもいいですね。
葉酸
妊娠・授乳期の女性には多くのビタミンやミネラルが必要になりますが、
葉酸もその一つです。
そのことから、トマトは有効な野菜なので生で食べることが
おすすめですが、ほうれん草、ブロッコリー、かぼちゃなどにも
多いので、トマトが嫌いでも大丈夫です。
ちなみに、妊娠・授乳期に推奨される葉酸の一日の摂取量は240μgですが、
生のトマトでは22μgで、トマトケチャップでは5μgなので、あまり
生のトマトにこだわらなくてもよいと思います。
生のトマトより増えた成分は?
トマトから作られるトマトケチャップには、一部の成分を除いて
ほとんどの成分が生のトマトと同程度か、それより増加しました。
カロリー(エネルギー/kcal)
生のトマトよりトマトケチャップのカロリーのほうが高くなっているのですが、
その理由は添加物が加わったためと考えられます。
ちなみに、調味料の中濃ソースのカロリーは100g当たり132kcalですから、
トマトケチャップの119kcalとほぼ同じくらいです。
生のトマトは19kcalですから、同じようにトマトケチャップを食べてしまうのは、
食べ過ぎですね。
β-カロテン
トマトのβ-カロテンの量は緑黄色野菜の中では、ニンジンよりは
少ないのですが、レタスやきゅうりよりはずっと多いんです。
なので、トマトケチャップにも多く含まれていて、むしろ、
生のトマトよりもやや多いんですが、トマト以外の原材料を加えることで
増えているようです。
このように、トマトケチャップにもβ‐カロテンはしっかり含まれて
いますから、生のトマトが嫌いでも大丈夫です。
ちなみに、β-カロテンは体内でビタミンAの作用をするほかに、
有害な活性酸素からからだを守る抗酸化作用や免疫力を増強する働きがあります。
「抗酸化」とは
細胞の傷害を予防したり遅らせたりする性質のことです。抗酸化物質は野菜や果物に多く含まれていて、ビタミンC、ビタミンE、セレニウム、β-カロテン、リコピン、ルテインやゼアキサンチンなどのカロチノイド類があります。
出典:eJIM 厚生労働省
たんぱく質、炭水化物、食物繊維不溶性、カリウム、カルシウム、マグネシウム
生のトマトからトマトケチャップを作る過程で、玉ねぎなどを加えられるため、
成分量が増加したというわけです。
つまり、もともとトマトにはビタミンC、β‐カロテンや葉酸以外の成分は
あまり多くないということです。
なので、トマトケチャップを食べることで、生のトマトに含まれる栄養は
充分に摂ることができるんです。
ただ、トマトケチャップの食塩(ナトリウム)の量が多いので、
塩分を控える必要のある方は気を付けてくださいね。
塩分
食塩の量はナトリウム量ではなく、食塩の量の約4割がナトリウム量という
ことなんですね。
なので、塩分とナトリウムの換算はこの計算式によります。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食塩の摂取量の目標量(食塩相当量)は、
成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満と設定されています。
また、高血圧及び慢性腎臓病(CKD)の重症化予防のための食塩相当量の量は、
男女とも6.0g/日未満とされていますから、トマトケチャップの塩分相当量(3.3g)は
多いですね。
ただ、実際にはトマトケチャップを一日に100gも食べることはほとんどありませんが、
塩分が多いということは知っておいてくださいね。
リコピン
リコピンは植物などに含まれる赤色やオレンジ色の色素成分で、
トマトにはもちろんですが、トマトケチャップにも含まれています。
リコピンはβ-カロテンの仲間で、抗酸化作用はβ-カロテンよりも強力のようです。
なお、リコピンは加熱によって吸収率が高まるので、トマトケチャップを
使って加熱調理するとからだに吸収されやすくなりますね。
トマトケチャップは着色料、保存料が一切不使用!
トマトケチャップには着色料、保存料が一切使われていません。
例えば、カゴメのトマトケチャップの場合ですと、『トマト、糖類(砂糖、
ぶどう糖果糖液糖、ブドウ糖)、醸造酢、食塩、たまねぎ、香辛料』が
原材料のすべてになりますが、着色料、保存料は含まれていませんね。
また、デルモンテトマトケチャップについても調べましたが、
糖類(ブドウ糖)を除いて、原材料はカゴメのケチャップと
全く同じなんですね。
確かに、カゴメもデルモンテにも着色料、保存料は含まれていませんでした。
ケチャップに保存料が使われていないのは、なぜ?
先日購入したばかりのトマトケチャップの賞味期限が1年半以上も先に
なっていたので、ずいぶん長持ちするんだなぁ~と思いました。
ちなみに、製造過程の衛生管理をしっかりしていれば、保存料が無くても
長持ちする食品はたくさんあります。
保存料を使えば費用もかかるし、味も落ちるので、食品によっては
万が一の保険かもしれません。
しかし、トマトケチャップについては原材料の酢、食塩には強力な殺菌作用が
ありますから、保存料を使わないで済んでいるようです。
まとめ
野菜サラダには必ずといっていいほどトマトが添えられているので、
トマトが嫌いで食べられないとちょっと残念ですね。
でも、トマトに含まれている栄養成分は、ほとんどそっくりトマトケチャップにも
含まれていますから、トマトを無理して食べる必要はありません。
つまり、トマトといえば、βカロテンとリコピンの抗酸化作用などが
取りざたされますが、トマトケチャップにもしっかり含まれていますから
安心してくださいね。
ただし、ケチャップにはトマトに含まれない塩分が含まれていますから、
塩分のとり過ぎが気になる場合には料理に使う量を加減してください。
ちなみに、トマトケチャップの塩分量は100g中に3.3gですから、
料理で普通に使うぶんにはそれほど気にする必要はないでしょう。
トマトが嫌いなあなたにトマトケチャップの栄養価を知ってもらい、
安心して楽しい食事をしていただけたら幸いです。
【参考資料】
・トマトケチャップ:商品情報(カゴメ株式会社)
・トマトケチャップ:商品情報(キッコーマン株式会社)
・お客様センター:サントリーホールディングス株式会社
・ナトリウム:e-ヘルスネット(厚生労働省)
・葉酸:報道(ビタミン、ミネラル、食物繊維など・・厚生労働省)
・抗酸化:e-JIM(厚生労働省)