食べる

つくしは栄養価の高い山菜なんです!その効能と毒性についても紹介!

つくしを持った子供

「つくし」写真ACより

春風に誘われるように地表に顔を出してくるつくしですが、
見た目の可愛さに似合わず、実は、とても栄養価の高い山菜なん
です。

つくしを食べる習慣のない地域の人にとって、つくしを食べると
いうだけでも驚きなのに、栄養価の高い山菜だと聞いて、さらに
びっくりですね。

つくしにはビタミン、ミネラル、食物繊維など、からだに良い
栄養成分が豊富に含まれているんです。

また、薬品としての効果がある成分も含んでいるので、食べ過ぎる
と副作用として、毒性を示すこともあるので注意が必要です。

今回はつくしに含まれている栄養成分とからだへの効能・効果を
紹介しますが、毒性についてもお伝えしていきますね。

 

あの可愛いつくしって何者?

つくしとスギナ

つくしとスギナの群生

実は、「スギナの胞子茎」のことをつくし(土筆)と呼んでいます。

そのスギナはシダ植物の中のトクサ科トクサ属の一種になります。

つまり、つくしという植物が存在するわけではなく、スギナという
植物の一部分であるということなんですね。

つくしとスギナの関係をもう少し詳しくお話しますね。

姿かたちのまったく違うつくしとスギナは地下茎(地中の根っこ)で
繋がっていて、その地下茎から最初につくしが地上に顔を出して、その後に
スギナが顔を出してくるんです。

その時のつくしとスギナの関係はつくしの頭から胞子をばらまくことで
スギナの繁殖をうながすことになるため、つくしはスギナの花にあたる
いうことなんですね。

 

つくしに含まれる栄養成分と効能

採集したつくし

つくしにはタンパク質、食物繊維、ビタミン類、ミネラル類などの
含有量は、栄養価が高いといわれる野菜に負けないくらい多いんです。

なかでも、多い栄養成分としてはβ-カロテンビタミンEビタミンC
カリウム食物繊維をあげることができます。

ただ、一年中、たくさん食べられるものではないですし、栄養豊富な
山菜なので旬の春の味覚を感じながらいただいてくださいね。

また、あとで詳しくお伝えしていますが、つくしには毒性を示す成分も
含んでいますから気を付けなければなりません。

では、つくしに多く含まれている栄養成分とその効能を紹介していきますね。

(可食部100g当たり)

栄養素 つくし (胞子茎・生)
エネルギー /Kcal 38
水分 /g 86.9
タンパク質 /g 3.5
脂質 /g 0.1
コレステロール /mg 0.0
炭水化物 /g 8.1
食物繊維水溶性 /g 1.2
食物繊維不溶性 /g 6.9
ナトリウム /mg 6
カリウム /mg 640
カルシウム /mg 50
マグネシウム /mg 33
リン /mg 94
鉄 /mg 2.1
亜鉛 /mg 1.1
銅 /mg 0.22
マンガン /mg 0.22
ビタミンK /μg 19
ビタミンB1  /mg 0.07
ビタミンB2 /mg 0.14
ナイアシン /mg 2.2
ビタミンB6  /mg 0.35
ビタミンE /mg 4.9
葉酸 /μg 110
パントテン酸 /mg 0.90
ビタミンC /mg 33
βカロテン当量 /μg 1100
食塩相当量 /g 0

出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省)

 

β-カロテン

つくしにはβ-カロテンがなんと1100μgも含まれているので、野菜としての
分類では「緑黄色野菜」になるんですね。

「緑黄色野菜」とは

100g当たりのβーカロテンの含有量が600μg以上の野菜が「緑黄色野菜」
で、それ以外の野菜が「淡色野菜」になります。

ただし、βーカロテンの含有量が600μg以下でも使用される頻度と量が
多く、色の濃いトマトやピーマンなども「緑黄色野菜」に分類されます。


つくしのβ-カロテンの含有量は春菊やブロッコリーにも匹敵する

ほどなんですよ。

β-カロテンは体内で必要量に応じてビタミンAに変換されますが、
一部はβ-カロテンのまま蓄えられ、β-カロテンとしての効能・
効果を発揮します。

つまり、つくしを食べると効率よくβ-カロテンを摂ることができると
いうわけなんですね。

β-カロテン自体は強力な抗酸化作用を持っています。

抗酸化作用とは活性酸素を除去する働きのことで、活性酸素が
異常に増加しやすい現代社会では、その効能が注目されて
いますよ。

もともと、活性酸素は健康維持には欠かせない物質なんですが、
現代ではストレスや食品添加物などによって増加しすぎていて、
害になってしまうことが多いんです。

例えば、ガン細胞の発生するメカニズムは、健康な細胞の遺伝子が
活性酸素によって傷つけられることで起こると言われています。

なので、β-カロテンの抗酸化作用はガンを予防する効能として
大きな期待が持たれているんですよ。

また、一部のβ-カロテンから変換されたビタミンA は、からだの
粘膜や皮膚を健康に保つ作用や免疫機能を正常に保つ役目を担って
います。

目に見える効能としては美肌効果が分かりやすいですね。

また、ビタミンA というと、視力を維持するのに必要不可欠な成分
であることはよく知られていますよね。

 

ビタミンE

ビタミンEはβ-カロテンと同じように抗酸化作用の強い成分ですが
脂溶性のビタミンEは過酸化脂質の生成を抑えて血管を健康に保って
くれます。

また、細胞の酸化を防いでくれるので老化防止に効果的なんですね。

特に、つくしのビタミンEの含有量は野菜の中でもトップレベルなので、
小さな可愛いつくしからでも充分に摂ることができますよ。

 

ビタミンC

ビタミンC はβ-カロテンやビタミンEと同じように抗酸化物質と
してよく知られている栄養成分なんです。

ビタミンEは脂溶性ですが、ビタミンC は水溶性なので、お互いに
補完しあって働いてくれるので、からだにとっては効率的ですね。

また、ビタミンC は体内の多くの生理反応に関与していますが、
主な効能・効果は活性酸素による体内の老化を抑えたり、メラニン
色素を無色化してシミを予防してくれることです。

 

カリウム

カリウムはナトリウムとともに体内のさまざまな機能を調整する働き
をしています。

よく知られている効能には血圧を下げる働きがあります。

ただ、腎臓の機能が低下している人はカリウムの過剰摂取には
注意が必要ですが、春の味覚としてつくしを食べるくらいでは
心配はいらないと考えていますよ。

 

食物繊維

つくしには水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がともに多く含まれて
いますが、特に不溶性食物繊維の含有量は突出しています。

水に溶けない不溶性食物繊維は水分を吸収してふくらんで、便の量を
増やすことで腸を刺激し、便通を促します。

また、食後の血糖値の急激な上昇を抑えたり、コレステロールの吸収を
抑制する作用が報告されていますよ。

(出典:食物繊維 Wikipedia)

 

つくしに含まれる毒性成分

つくしの灰汁抜き

つくしの灰汁抜き

つくしの成分について、ウィキペディア(フリー百科事典)にこんな一節がありました。

チアミナーゼ、アルカロイド、無機ケイ素などを含むため、多量の摂取は推奨されない。また、心臓、腎臓の疾病を有する人、ニコチンに対する過敏症を有する人の摂取は禁忌とされる。さらに、チアミナーゼによるビタミンB1欠乏症を起こす恐れがある

引用:スギナ Wikipedia

このように、栄養豊富なつくしですが食べ過ぎによる副作用として、
毒性を示すことがあるんですね。

なので、つくしが毒性を示すといわれる成分について詳しく調べましたので
紹介しますが、先に結論をいいますと、チアミナーゼについては灰汁抜きと
加熱で毒性が失われます。

また、アルカロイドについては、はっきりした中毒の報告がないようですが
安全のために心臓・腎臓に疾病のある人やニコチンに対する過敏症のある
人は食べないほうが良さそうです。

なお、ケイ素については栄養的にも毒性についてもあまり分かっていない
ようです。

なので、つくしは食べ過ぎないように気を付けた方が良いですが、
もともと、季節が限られた山菜なので食べ過ぎの心配はなさそうですね。

 

チアミナーゼ

ワラビ、ぜんまい、スギナなどの山菜を灰汁抜き(あくぬき)しないで
食べると「ワラビ中毒」を起こします。

つくしについても同じように灰汁抜きせずに食べると中毒を起こしますよ。

理由はチアミナーゼという酵素にはビタミンB1を破壊する作用があり、
他の食事から摂ったビタミンB1さえも壊してしまうからなんですね。

なお、チアミナーゼのこのような破壊作用は加熱によって失われるので
つくしを食べるときには灰汁抜きと加熱による下処理は必要になりますよ。

出典:チアミナーゼ Wikipedia、チアミナーゼ Weblio辞典

ワラビ中毒の症状

体がだるく神経痛のような症状が生じ、脚気になる事もある。

出典:ワラビ Wikipedia

 

アルカロイド

アルカロイドは植物に含まれる有機化合物のことですが、毒性や特殊な
生理・薬理作用をもつものが多いです。

一般的に自分以外の生物には毒性を示すようですね。

タバコのニコチンやお茶のカフェイン、ケシのモルヒネなどはよく
知られているアルカロイドです。

つくしの場合は、心臓・腎臓に疾病のある人やニコチンに対する過敏症の
人は食べることは控えたほうがいいかもしれません。

しかし、つくしによってアルカロイド中毒になったという情報を探し
ましたが、確認することはできませんでしたよ。

 

ケイ素

つくしの毒性成分についてのWikipediaの引用文にチアミナーゼ、
アルカロイドとともに無機ケイ素の記載があります。

確かに、シダ植物(つくしはシダ植物に分類される)の骨格にはケイ素が
含まれているようです。

しかし、栄養素としての必要性はあまり分かっていないので、毒性に
ついても分かってはいないんですね。

 

つくしの3つの定番料理

つくし煮物

つくしの煮物

Q&Aサイトの「Yahoo!知恵袋」と「教えて!Goo」から、つくし料理に
関する投稿記事を集めてみたら、つくし料理は地方によっても、作る
人の年代によっても、いろいろな種類があるんですね。

さらに、つくし料理には地域にかかわらず、人気の定番料理が3つある
こととその順位も決まっていることが分かりました。

第1位 卵とじ

第2位 佃煮

第3位 天ぷら

また、料理サイトの「クックパッド」でつくし料理を検索してみると、
やはり、卵とじ、佃煮、天ぷらの3つが上位を占めているんですよ。

わたしはまだつくしを食べた経験がないので、来年の春は是非つくしの
卵とじを食べようと決めていますよ。

また、タラの芽やフキノトウの天ぷらが好物なので、つくしの天ぷら
と味の比較もしてみたいものです。

 

つくしが花粉症に効くって本当!?

1998年春、日本大学の先生が趣味の山菜取りでつくしを採集して持ち
帰り、炒めて食べたところ花粉症の症状が止まったそうなんですね。

そこで、つくしの成分を分離・精製して調べてみたら、抗アレルギー
効果のある成分が特定されたんです。

なので、日本大学と池田薬草との共同で「つくし飴」を開発したという
わけなんですね。

(出典:つくし飴 Wikipedia)

人への効能の有効性を示すデータは確認できていないようですが、
通信販売されているんです。

興味があったので、実際に「つくし飴」で検索してみたところ、
確かにネット販売されていましたよ。

 

犬がつくしを食べてしまった!!

雑草を食べる犬

犬の散歩をしていると時々雑草を食べることがあります。

犬の消化器は人間よりはるかに丈夫なんですが、それでも胃腸の調子が
悪いときに雑草を食べるんですね。

わたしの飼っている雑種犬は草を食べた後、よくげっげっと吐き出す
動作をしますが、いつもそのまま食べさせています。

でも、犬が苦しそうなそぶりを見せたことは一度もないですね。

そのままにしていても雑草をお腹に貯まるほど沢山食べることは、まず
ありませんから、犬につくしの毒性を心配する必要はなさそうです。

 

まとめ

あの可愛いつくしには、栄養豊富な野菜にも負けないくらいのタンパク質、
ビタミン類、ミネラル類、植物繊維が含まれているんです。

特に多く含まれている栄養成分にはβ-カロテン、ビタミンE、ビタミンC、
カリウム、食物繊維があります。

中でもβ-カロテンの含有量は春菊やブロッコリーに匹敵するので、旬の
春先にはぜひ春の味覚として味わってみてくださいね。

ただし、そんなつくしにも毒性を示す成分が含まれていますから気を付け
なければなりません。

毒性成分のチアミナーゼについては灰汁抜き(あくぬき)と加熱の
下処理で毒性が失われます。

アルカロイドについては中毒の報告は見つからないのですが、安全のために心臓・腎臓に
疾病のある人やニコチンに対する過敏症のある人は食べないほうが良さそうです。

ちなみに、つくしを食べる地域と食べる習慣のない地域があるんですが、
その分布と理由については別記事で紹介していますから興味のあるかたは
ご覧くださいね。

 

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