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神社には、怖い顔をした2頭の狛犬(こまいぬ)がいるのはなぜ?

神社の2匹の狛犬

神社に行くと参道の両脇に2頭のライオンのような石像が
置かれていますよね。

その石像は犬をモデルにしたものではありませんが、
狛犬(こまいぬ)と呼ばれています。

狛犬というと親しみやすい呼び名ですが、実際に見てみると
ライオンか獅子のような怖い顔をしていますね。

実は、そのような怖い顔をしているのにも意味があるんです。

今回は、そんな怖い顔をした2頭の狛犬が神社に設置されている理由を
お伝えしていきますね。

 

神社には、怖い顔をした2頭の狛犬がいるのはなぜ?

神社の狛犬

ひとことで言うと、狛犬には神社の聖域を悪霊から
守護するという意味があるんです。

つまり、2頭の狛犬は神社の参道の両脇に設置されいて、
悪い気や悪い霊が境内に入らないように見張っているんですね。

ですから、狛犬には悪霊を退散させるための勇猛さが
求められるので、もともとは百獣の王であるライオンが
モデルになっているんです。

古代ヒッタイト帝国の城壁の門に「ライオンの門」と
呼ばれる魔除けの石像が両脇に置かれていたことから、
ライオンが守護神とされていたことが分かります。

こうしたライオンを守護神とする文化は、やがて中国を経て
日本に伝わってきました。

中国にはもともとライオンは生息していませんから、
中国での狛犬は獅子の姿をしていました。

日本では、獅子は想像上の神獣ですし、ましてや本物のライオンを
見たことのない昔の職人たちが作った狛犬ですから、神社によって
個性的な狛犬が置かれているというわけです。

けれど、見た目にかかわらず狛犬には聖域を悪霊から守護する
という意味に変わりはありません。

あなたが神社の参道を通り神前に立って御祈願をする時には、
すでにあなたについていた悪いものは狛犬によって追い払われて
いるんですよ。

 

向かい合っている2頭は同じ狛犬?

飾りの狛犬

2頭の狛犬はそれぞれ違う顔をしていて、呼び名も違うんですよ。

神社に向かって右側で口を開けた狛犬が「阿形(あぎょう)」、
左側で口を閉じたほうは「吽形(うんぎょう)」といいます。

2頭の狛犬が口を開けているか閉じているかで、呼び名が
違うんですね。

飛鳥時代に日本に伝わった時には2頭の狛犬に差異はなかった
のですが、平安時代になって異なる外見の狛犬が置かれるように
なったそうです。

また、狛犬の「阿形」と「吽形」の形は日本で多く見られる特徴で、
他の国ではないようです。

口を開けた「阿形」と口を閉じた「吽形」の形は、神社ではなく
お寺の入り口に立っている怖い顔をした二人の仁王像にもこの特徴が
反映されているので、お墓参りのときにはぜひ確かめてくださいね。

 

阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)ってどんな意味?

お土産の狛犬
さて、この阿(あ)と吽(うん)にはこんな意味があるんです。

古代インドのサンスクリット語では、「阿」とは全ての始まりを意味し、
「吽」とは全ての終わりを意味するそうです。

つまり、「阿」と「吽」をセットにした「阿吽(あうん)」のひと言で
この世の始まりから終わりまでの全てを表現しているんですね。

あなたと私の息が合うことを「あうんの呼吸」といいますが、
初めから終わりまで全ての行動が暗黙の了解の上に成り立っている
という意味なんです。。

 

狛犬が神社にいてお寺にいないのはなぜ?

お寺の仁王像

実は、狛犬は仏様を守る守護獣として飛鳥時代に日本に伝わって、
寺院に置かれていたんです。

当時はご神体を守るための建物(神社)はありませんでしたが、
やがて仏教の寺院建築の影響を受けながら日本各地に建てられる
ようになります。

そして神社の建造にともなって、神道では神様を守るのは動物である
という考え方がありますから、狛犬は神社にとって絶好の守護神として
置かれていったんですね。

一方、鎌倉時代になると寺院では仏様の守護神として仁王像の設置が
普及してくると、寺院の狛犬は次第に姿を消していくことになったんです。

狛犬も仁王像も神社や寺院の境内に悪霊が入らないようにする見張り番ですから、
外見が異なるだけで設置されている意味は全く同じなんですね。。

 

神社によっては、こんな狛犬も!?

ウサギの狛犬

神道では神様の守り神として仕えるのは動物だと考えられています。

なので、神社の参道の両脇に置かれている狛犬がライオンや獅子ではなくて、
狐(きつね)のこともよくありますよね。

神社によっては、狐のほかに、牛(うし)、猪(いのしし)、兎(うさぎ)、
鼠(ねずみ)などのこともありますが、どれも狛犬であることに変わりは
ありません。。

もし、あなたが神社を訪れたときにライオンや獅子以外の狛犬が置かれて
いたら、その神社には何か特別な由来があるのかもしれませんよ。。

 

沖縄のシーサーも狛犬なの?

沖縄のシーサー

沖縄の寺社、城門、村落の入り口などに置かれているシーサーも
本土の狛犬と同じように、家や人、村に災いをもたらす悪霊を
追い払う魔除けの意味を持っています。

また、シーサーのルーツも古代オリエントのライオンであると
伝えられていますよ。

狛犬と同じようにインドからシルクロードを通って中国から沖縄に
伝わったのは間違いなさそうです。

さらに、仏教の影響で阿吽(あうん)のセットで設置されているシーサーも
多いんです。

なので、沖縄のシーサーと本土の狛犬とは、別々に伝わってきましたが
同じ狛犬の仲間なんですね。。

 

まとめ

神社の参道の両脇に置かれている2頭の狛犬はただの飾りの石像では
なかったんですね。

もともとは古代文明のなかで貴族のお墓やお城を悪霊から守るための
守護獣として誕生しました。

やがて日本に伝わった神社の狛犬も境内に悪霊が侵入するのを防ぐ
意味があったんですね。

お寺の仁王像(金剛力士像)も沖縄のシーサーも特定の聖域を悪霊から
守るという、狛犬と全く同じ意味があります。

ただ、日本の狛犬、仁王像、そしてシーサーには他の国とは異なる特徴が
あるんですね。

それは一対になった片方は口を開けていて、もう一方は口を閉じているんです。

それぞれ阿(あ)、吽(うん)と呼ばれていますから狛犬、仁王像そしてシーサーを
見る機会があれば、ぜひ確かめて見てくださいね。。。

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