滋賀県の鮒ずし、伊豆諸島のくさや、といえばニオイの臭さでは
西と東の横綱級の郷土料理ですよね。
値段もけっして安くはないんですが、ニオイの悪評にもかかわらず
愛好者が意外に多いのは何故なんでしょうか?
鮒ずしもくさやも栄養豊富な発酵食品ですから、できれば誰の口にも
合う料理であってほしいのですが・・・。
今回は、鮒ずしとくさやはどんなニオイがして、どのくらい臭いのかを
単刀直入にお伝えしていきます。
また、そんなに臭いんだから不味いものなのか、それともニオイとは裏腹に
美味しいものなのか、その味についてもお知らせしますね。。
もし、旅行で滋賀県や伊豆諸島を訪れることがあれば、試食やお土産にするときの
参考にしていただけたら嬉しいです。。
鮒ずしとくさやって本当に臭いの?
はっきり言って、鮒ずしもくさやも独特のニオイがして、本当に
臭いです。。
臭いことは誰もが認めているんですが、好き嫌いにかかわらず、
たくさんの人に興味を持たれているのは不思議なところです。
くさやのニオイが嫌いではない人も!?
くさやは確かに臭いことは臭いんですが、わたし個人はとても
食欲をそそるニオイだと感じています。
なぜなら、子供の頃、家の近くにくさやを作る工場があったことで、
安く買えるものですから普通に毎日食卓にくさやが出ていたんですね。
なので、私はくさやが大好物ですから、大人になってから、くさやに縁の
なかった友人にごちそうしたことがあるんですよ。
しかし、残念ながら彼はくさやを食べませんでしたから、やはり
初めての人には、くさやの臭さの壁は高かったようですね。。
のちに、その友人はくさやの臭さを「人のウ〇コ」のようだったと
言っていたのには正直驚きましたが、それも人の腸内で発酵(?)したもの
なので、友人の感想には一理あるのかもしれません。
くさやが大好きな私には、くさやはくさやのニオイとしか言えないんですが、
しいて何かに例えるなら銀杏(ぎんなん)のニオイに近いんではないでしょうか。。
鮒ずしの臭さは半端なかった!?
さて、鮒ずしについてですが、10年ほど前に初めていただく機会に
恵まれました。
鮒ずしをお土産にいただいたから一緒に食べようと友人から誘われたんです。
友人も鮒ずしは初めて食べるようでしたが、お土産を貰うときに
相手の方から鮒ずしは臭いものであることと高価であることは知らされて
いたようです。
さて、お土産を開いてみたところ、浅い木箱に体調が20㎝くらいの鮒が
2尾入っていたのですが、とてもうわさに聞いていたような高級な雰囲気は
ありませんでしたね。
そのうちの1尾を取り出して、鮒を漬け込んで発酵したご飯を取り除いたり
、食べやすいように切ったリしている間は特にニオイは感じませんでした。
そして、さっそく食べようと鮒ずしの一片を口元に持ってきたとたん、
その臭さが鼻を突いてきて、あ然としてしまったんです。
そのときの臭さは今でもはっきり覚えていますよ。
昔の汲み取り式の便所をご存知でしょうか、それも夏のむんむんした室内の
臭さといった感じでした。
何度も、食べてみようと口に近づけるのですが、結局、私も友人も一口も
食べずに、お互いの顔を見ながら苦笑するばかりだったんです。
もし、鮒ずしは臭いものなのだと前もって知らされていなければ、
「これは腐っているのではないか」と、とっくに捨ててしまったはずですよ。
ちなみに、後になって、その鮒ずしのお土産の値段が1万2千円だったと聞いて、
無理してでも食べてみるべきだったと後悔しているんですが・・・。
鮒ずしとくさやって、どんな味?
「臭いこと」は「不味いこと」を意味しているのでしょうか?
普通の干物やみりん干しも美味しいんですが、私はくさやが大好き
なのは、くさやの味の奥深さなんです。
食材を燻製にすると香りと味に深みが出るんですが、くさやの味は
普通の干物を燻製にした感じに近いかもしれません。
でも、やはりくさやは臭いですが、好みの味であるとニオイに嫌悪
感を持たなくなるようです。
私の子供の頃の生活習慣から、くさやの臭さに食欲をそそるニオイ
を感じるようにです。
ですから、くさやは焼くときの臭さが最も強いため、すでに焼き上
げて真空パックにしたものですと、それほど臭くありませんから、
ぜひ、くさやの濃厚な味を知ってほしいですね。
一方、鮒ずしは今のところ私は食べていないので味については
あれこれ言えないのが残念です。
鮒ずしのファンによると、酸味のあるチーズ系の味わいだと言って
いますが・・・
琵琶湖の近くに暮らしていて鮒ずしが嫌いな方は少ないそうですが
、臭さを感じないわけではなく、好みの味であれば臭さに嫌悪感を
持たないのだと思いますね。
最近とくに、滋賀県では「鮒ずしの品評会」が行われたり、「鮒ず
しの講習会」が行われたり、普及活動が活発になっていますから、
いづれ琵琶湖に旅行する機会を作って必ず味わってみるつもりです。
ちなみに、鮒ずしは上手に漬けてあるものは臭いがそれほどきつく
なく、飯に漬けた後に酒粕に漬け直すこともあり、その場合は発酵
臭が抑えられるようです。
(出典:鮒寿司 Wikipedia)
そもそも、鮒ずしとくさやってどんなもの?
琵琶湖のある滋賀県で奈良時代から作られ続けている郷土料理で、
ニゴロブナと米飯を一緒に漬け込んで発酵させたものが「鮒ずし」
です。
鮒ずしは現在の握り寿司の元祖である「なれずし」(※)の伝統
を引き継いでいます。
(※)なれずしとは魚に塩と飯を混ぜて長期間保存し、乳酸菌の
作用によって発酵させたもの(出典:なれずし Wikipedia)
一方、「くさや」はむろあじやトビウオを独特の匂いと風味を持つ
「くさや液」という発酵液に漬け込んでから、天日干しした干物
なんですね。
ちなみに、発酵食品は冷蔵庫がなかった昔の保存食としての一面が
ありますが、発酵食品のすごいのは元の食材よりも栄養価の高い食品に
変えてしまうところなんです。。
鮒ずしもくさやも発酵過程でビタミンやミネラルの栄養価が元の材料よりも
高くなっていたり、新しい栄養素が付加されていたり、栄養豊富な食品に
生まれ変わってしまうんですね。
昔の人も出来るだけ美味しくしようと努力はしたのでしょうけれど、
生きるための糧とするのが目的ですから、結果として臭くなってしまった
んでしょうか・・・。
でも、食べたら体の調子がとても良かった、というのが昔の人の感想だった
のかもしれません。
発酵食品だから、臭いのは当たりまえ!?
なじみのある発酵食品といえば、納豆、チーズ、キムチなどが
思い浮かびますから、やっぱり臭いものだと納得してしまいます。
ところが、味噌、醤油、みりんなどは発酵した調味料なのに、臭いと
感じるのではなく食欲をそそるニオイですよね。
つまり、発酵食品はすべて臭いのではなくて、鮒ずしやくさやは
残念ながら臭いと感じてしまう発酵食品だったということです。
また、臭い発酵食品は好き嫌いがはっきりしいるので敬遠され
がちですが、いったん好きになると熱烈な愛好者になってしまうの
は味とニオイとのバランスにありそうです。
最近の加工食品は初めて食べる時「これ美味しい!」と思っても、
回数を重ねるうちに飽きてしまった経験はありませんか?
きっと、発酵食品の独特の味とニオイは慣れるまでは敬遠され
やすいけれど、いったん好きになってしまうと虜になってしまう
ようです。。
鮒ずしとくさやの臭さのランキングは?
①シュールストレミング
(缶が破損したときの悪臭の被害を予防するために船舶でのみ輸入
が許可されているんです) 8070
②ホンオフェ 6230
③エビキュアーチーズ
(缶詰チーズ) 1870
④キビヤック 1370
⑤くさや(焼きたて) 1267
⑥鮒ずし 486
⑦納豆 452
⑧くさや(加熱前の干物) 447
⑨沢庵漬け(古漬け) 430
⑩臭豆腐 420
鮒ずしもくさやも、世界の臭い食材には敵いませんが、やはり
臭いことには違いありませんね。
単位はニオイの成分量を表す(Au)であり、においの強弱などを
表す単位ではないですが、目安にはなります。
(出典:鮒寿司 Wikipedia)
まとめ
鮒ずしもくさやも臭い郷土料理の横綱と言われているのは、大袈裟
でも嘘でもありません。
その臭さは、私たちが普段食べている食材とは一線を画しているの
は本当のことなんです。。
まだ食べたことのないあなたは、どんな臭さなのか気になっていた
のでしょうね。
その臭さの特徴は、ほとんどの人がトイレに関連するニオイだという
感想を持っていることです。
もっとも、トイレで排泄されるのは腸内で発酵(?)したものなの
で、一理あると言えるかもしれませんね。。
ただ、はっきり言えることは「臭い」ことと「不味い」ことは同じで
ではないんです。
鮒ずしもくさやも熱烈なファンがいるくらい、その味は一度好きにな
ると虜(とりこ)になってしまう味なんですね。
鮒ずしもくさやも発酵食品なので栄養豊富ですから、好きになる
ことは身体のためだけではなく、自慢できる好物が1つ増えことにも
なりますね。。