急に印鑑が必要になったとき、はんこの自販機が置かれているお店が
営業していれば、いつでも作れるので便利ですよね。
でも、必要になった印鑑が認印(みとめいん)であればそれほど慎重にならなくても
よいのですが、実印となるとそうはいきません。
なぜなら、役所に登録ができて初めて実印と呼ばれる印鑑になるからです。
そこで、今回は、はんこの自販機で作った印鑑が実印として使えるのかどうか
調べてみました。
結果は、はんこの自販機で実印を作ることはできるのですが、実印としての
規定があるため、自販機を操作する過程で気を付けなければならないことが
いくつかあるんです。
なんだか、自販機の操作が難しそうに思われるかもしれませんが、実際に
やってみるとサラッとできてしまいますから安心してくださいね。
ただし、はんこの自販機はあくまで機械ですから、あなたが理想とする
実印を作りたいのなら、時間はかかりますがハンコ屋さんで作ることを
おすすめしますよ。
【おことわり】
全国に、はんこの自販機は一種類ではなく数種類が存在するようです。
この記事では、見出しの写真のように『楽楽はんこ』という自販機を使った場合を
もとにしていますから注意してくださいね。
なお、実印ではありませんが、実際にはんこを1つ作ってみましたから、
そのできばえが参考になれば幸いです。
はんこの自販機で作ったはんこは実印として使える!?
実印は役所に登録して初めて実印になるのですが、役所によって
受け付ける印鑑の規定が多少違います。
その違いとは、印鑑の外枠が少し欠けていたり、文字が判読しにくかったりして
役所によっては登録できない場合があるという点です。
なので、見た目で違和感を感じるようなところがなければ大丈夫です。
基本的には次にあげる5つの条件に適合していれば実印として登録できる
はずです。
自販機の操作については、5つのうち2つは自販機のどの選択をしても
大丈夫ですが、(1)・(2)・(3)の3つはあなたが選択してくださいね。
(1) 素材にプラスチックを選ばないこと
(2) 刻印は住民基本台帳に記録されている氏名などにすること
(3) 印面の大きさが規格内であること
(4) 刻印に外枠があること
(5) 刻印の凸凹が逆転していないこと
では、自販機の操作をそれぞれの項目について解説しますから、
目を通しておいてくださいね。
(1) 素材にプラスチックを選ばないこと
印鑑の素材にプラスチックを選ばないでください。
印鑑としてもっとも基本的なことですが、くり返し何度押しても
印影が同じでなければなりません。
印鑑を紙に押したときの朱肉による画像のことです。
押すたびに印影が変わってしまっては、本人の印鑑であることが
証明できませんよね。
プラスチックの印鑑は安く作れますが、プラスチックは熱によって
変形しやすく、弱い力でも欠けやすいんですね。
多くの役所では、実印の条件のなかで『登録に適さない印鑑』として
印影が変形しやすい材質のものと規定しています。
なので、素材がプラスチックの印鑑は実印として登録できない場合が
あるんです。
自販機で用意している素材は16種類ですが、どれがプラスチックなのかは
分からないので、あかね(木)あるいはみねばり(木)のいずれかを
選んでくださいね。
印材として高い評価の柘(つげ)はきめが細かく、耐久性にも優れているのですが高価です。そこで、きめ細かさや耐久性は劣るものの、比較的安価な柘(あかね)が一般的に印鑑に使われています。ちなみに、読み方は違いますが同じ漢字(柘)が使われているようです。
きめ細かさや耐久性に優れていますが希少性のために高価です。印材のほかにくしやそろばんの玉に使われています。
(2) 刻印は住民基本台帳に記録されている氏名などにすること
刻印の文字はなんでもいいわけではありません。
東京・八王子市役所では刻印についてこのように規定しています。
(職業、資格、その他氏名以外のことが刻印されているもの、外枠が8分の1以上欠けているもの、文字の判読が困難で印影が不鮮明なもの及び動物のシルエットや図柄等で文字の全部あるいは一部が表されてるものなどは登録できません。)
(注意5) あらかじめ旧氏記載の手続きが必要です。
つまり、基本的に住民票に記載されている氏名を表示することを
推奨しているんです。
どうしても表示したい文字があるのでしたら、あなたがお住いの役所に
問い合わせてみてくださいね。
(3) 印面の大きさが規格内であること
はんこの自販機で選べる大きさは直径10.5~15mmですから、どれを選んでも
規格内ですが、刻印の氏名などの文字が収まる大きさを選んでくださいね。
文字の配置は自販機の画面で確認できます。
また、実印には定番のサイズがあるので13.5mmか15mmがおすすめです。
ちなみに、刻印に苗字と名前の両方(フルネーム)で表示すると、実印らしく
なりますし、文字数が多くなるので偽造などの予防にも効果的です。
(4) 刻印に外枠があること
自販機の操作で外枠を無くす選択はできないので大丈夫です。
(5) 刻印の凸凹が逆転していないこと
いわゆる文字の白抜きのことですが、こちらも自販機の操作で選べないので
大丈夫です。
はんこの自販機で作ったハンコは銀行印として使える?
はんこの自販機で作る印鑑は銀行印としても使えます。
はんこの自販機で製作するときに、あなたの名前が表示されていれば
普通に受け付けてもらえるはずです。
ちなみに、銀行印として使えないのは次の3種類の印鑑です。
・キャラクターもの等の印鑑
・ゴム印など変形しやすい素材の印鑑
・多数の人が同じ印鑑を持っている(三文判など)
ただし、銀行によって厳格さにかなりばらつきがあるようなので、
多少デザイン性の高い印鑑を作りたいなら問い合わせてみてくださいね。
ただ、変形しやすく、欠けやすいプラスチックは避けた方がいいですね。
最近の傾向として、銀行印には苗字ではなく名前で刻印する人が多く
なっているようです。
預金通帳は家族がそれぞれ別の通帳を作っていることが多いので、
名前の方が分かりやすいからなんですね。
ちなみに、わたしも名前だけの印鑑を銀行印にしています。
はんこの自販機で作ったハンコは認印にできる?
認印は実印や銀行印のように、登録も届け出の必要もなく、日常生活で
「了解しました」や「確認しました」など、了承した意味で使われる
印鑑です。
しかし、認印といっても、押印すればそれなりに効力が発生しますから、
書類などに押印する場合は慎重にしてくださいね。
特に認印としての条件はありませんが、あなた本人であることが
分かればよいので氏名が表示されていれば足ります。
なので、はんこの自販機で認印として印鑑を作るなら、操作できる範囲内で
あなたの好みで作ることができます。
でも、あなたの好みで作る場合も、あなたらしいきちんとした印鑑を
作ってくださいね。
刻印がキャラクターだけのような印鑑では、本人であることが分からないので
認印とはいえません。
また、100円ショップや文具店などで売っている三文判は世の中に同じものが
多数流通していますが、それに比べると、はんこの自販機で作る印鑑は
いくつかの設定が選べる分だけ、あなた固有の印鑑になりますね。
実際に作ってみた!
ホームセンターの「D2ケーヨーデイツー」にはんこの自販機(楽楽はんこ)が
設置されていたので、実際に作ってみましたよ。
実印はすでに持っていますし、実用性のある印鑑を作っても刻印の仕上がりを
お見せできないので、ニックネームで作りました。
自販機の操作で、まずつまずいたのは刻印する漢字の変換と配置でしたが、
できてしまうと簡単なのに、最初はなんでも難しく感じます。
刻印する文字を決めたら、文字の配置、書体、文字の太さを選択しますが、
選択のたびに刻印面が画面に表示されるので楽しんでできます。
さらに、印鑑の素材を選べば、その後は自販機が勝手に作ってくれますよ。
わたしが設定に要した時間は、少し戸惑ったので約10分でした。
その後の自販機の稼働時間は完成して出てくるまで15分かかったので、
合計25分ででき上がりました。
自販機が加工している15分間が待ち遠しく感じましたが、彫刻の進み具合いが
画面に映し出されますから眺めていると暇つぶしになりますよ。
なお、実際に自販機ではんこを作った一連の過程を写真に収めましたので、
興味のある方はこちらの記事でチェックしてみてくださいね。
どのくらいの人が自販機を利用しているの?
どのくらいの人がはんこの自販機を利用しているのか気になったので、
なにげなくお店のスタッフに尋ねてみました。
実は、今回紹介した自販機はお店の一階のレジ近くに設置されているので、
レジのスタッフの方に聞いてみたんです。
すると『利用されているお客様はけっこういらっしゃいますよ』の返事
でした。
予想では、あまり利用されていないと思っていたので意外でしたね。
まとめ
お店が開いていればいつでも作れる「はんこの自販機」ですが、実印でも
作ることができるのか調べてみたところ、実は作ることが可能なんです。
ただし、自販機を利用するときに次の5つの条件に合うように気を付ける
必要があります。
(1) 素材にプラスチックを選ばないこと
(2) 刻印は住民基本台帳に記録されている氏名などにすること
(3) 印面の大きさが規格内であること
(4) 刻印に外枠があること
(5) 刻印の凸凹が逆転していないこと
また、銀行印についても、はんこの自販機で作ることができます。
銀行印については次の3つの条件をまもる必要はありますが、
自販機の場合では素材にプラスチックを選ばなければ大丈夫です。
① キャラクターもの等の印鑑
② ゴム印など変形しやすい素材の印鑑
③ 多数の人が同じ印鑑を持っている(三文判など)
認印については、自販機を使ってあなたの好みの印鑑を作ることが可能ですよ。
ただ、はんこの自販機はあくまで機械なので、人の手で作られた印鑑とは
違い、なんとなく印影に硬さが感じられたのはわたしだけでしょうか。
【参考資料】
・登録できる印鑑(八王子市役所)
・柘(あかね)とは?(匠印象辞典:印鑑の匠ドットコム)
・届出印(一般社団法人 全国銀行協会)
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