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電源コードを束ねると危険なのはなぜ?安全な束ね方も紹介!

束ねた電源コード

新しく電化製品を購入したときにはコード類は結束バンドで束ねられて
いることが多いですが、そのまま電源コードのプラグをコンセントに
差し込んで使う人はいないですよね。

もし、そんなことをしたら、しばらくすると電源コードの束ねられた部分が
熱くなって、やがて煙が出はじめ、ついには発火してしまう危険性がある
んです。

実際に、束ねた電源コードが原因で火災を起こしてしまった事例が
たびたび報告されています。

だからといって、束ねてあったコードをほどいて放っておけば、
コードどうしが絡み合ってしまったり、コードに足を引っかけたり、
なによりも見た目が悪いですよね。

なので、今回は電源コードを束ねた状態で電気を流した時に、なぜ発熱・
発火の危険が生じてしまうのかをお伝えして、さらに安全な束ね方も
紹介していきますね。

 

電源コードについて一言

電化製品にコンセントから電気を供給するために電源コードはなくてはならないものです。
取扱説明書にもこの電源コードを扱う時の注意点がいろいろ書かれていますが、その注意点の1つが「電源コードを束ねて使わない」なんです。

 

電源コードを束ねると危険なのはなぜ?

コードの導線と被膜

どんなコードでも電気を流すと熱が発生するんですが、その熱はコードを
覆っている被膜から自然に発散されるのでコードの温度が上がり続ける
ことはありません。

また、流れる電気の量によって発熱のしかたが違うので、コードの温度が
上がり続けてしまわないように、コードの用途によって太さが変わって
いるんですね。

つまり、コードの温度が上がり続けないように、コードの中の導線の
太さと導線を覆っている被膜の厚さが変えてあるんです。

もし、電源コードを購入したときのようにきっちりと束ねた状態で
電気を流したらどうでしょう?

束ねた部分ではコード同士が密着してしいるので、熱が空気中に
発散できる被膜の面積が少なくなってしまいます。

その結果、コードの発熱量が熱の発散する量を超えてしまい、温度が
どんどん上昇し続けてしまい、やがて煙が出はじめて、ついには
発火してしまうんですね。

特に、束ねたときに発熱・発火する危険性は、流れる電気の量が大きい
電源コードで起きやすいんです。

 

電源コードの安全な束ね方

乱雑な配線の電気コード

電源コードを束ねると発熱・発火の危険性があるので気をつける必要が
あります。

だからといって、コードを乱雑にほどいたままですと、足に
引っ掛けてしまうような危険もありますから、コードを安全に束ねて
おく方法をお伝えしますね。

まず、知っていてほしいことがあるんです。

電源コードに限らず、どんなコードにも「許容曲げ半径」という規格があって、
コードをここまで曲げてもよいという許容値があるんですね。

つまり、「許容曲げ半径」を超えて曲げ続けているとコードの導線が
変形したり、被膜に亀裂が入ったりしてコードの性能を著しく低下
させてしまうんです。

なので、電源コードを折り曲げて束ねてしまうと発熱・発火の危険だけではなく、
コードの寿命を著しく低下させてしまうことになるんですね。

したがって、良好な熱の発散とコードの性能の維持の2点を
クリアーするように電源コードを束ねるのが最も安全な束ね方に
なります。

結論は、写真のように「許容曲げ半径」より大きな円を描くように
ゆったりと束ねなければならないということなんです。

ゆったりと束ねた電源コード

ちなみに、「許容曲げ半径」はコードの用途にもよるけれど、ざっくりと言うと
コードの外径の4倍以上
とされていますよ。

また、一般的になってきた光ファイバーコードについては、コードの太さに
かかわらず、半径を30mm以下に曲げると通信に不具合が
出てくるので、
注意してくださいね。

 

電源コードに生じる熱の量

電気ストーブの規格ラベル

消費電力が1025Wの電気ストーブ

普通の家庭で使う電化製品のコードで、一番大きな電気が流れるのは
電源コードの場合がほとんどですから束ねて使用すると発熱の危険性が
高いんですね。

ちなみに、物に電気を流すと発生する熱は「ジュール熱」といって、
発熱量は流れる電気の量(電力)と時間が長くなるほど大きくなります。

このジュール熱の原則は、消費電力が大きく、長時間使い続ける家電の
電源コードほど、束ねると発熱・発火の危険性が高くなることを意味して
いるんですね。

あなたの家にある家電の消費電力は家電に貼ってある小さなラベルに
記載されていますから、ジュール熱が生じやすい家電を知ることが
できますよ。

消費電力の大きな電化製品では、特にコードの束ね方には気を付け
てくださいね。

なお、家庭のコンセントは、電圧が100Vで、最大電流は15Aですから、
1つのコンセントで消費電力が1500W(※1)の家電を動かすことが

できることも知っておくと安心ですよ。

※1:100V(電圧)×15A(電流)=1500W(消費電力)

 

家庭で使う電化製品の消費電力

あなたの家にある消費電力の大きな家電を知っておくと、
電源コードを束ねるときに慎重になるのではないでしょうか?

ただし、エアコンとIHクッキングヒーターについては、特に
消費電力が高いので、ほかの家電とは別の専用回路になっている
場合が多いです。

よく使われている電化製品の消費電力は以下の通りですが、
機種によって異なるので平均的な消費電力を表示しています。

電化製品 消費電力(W)
アイロン 1200
ホットプレート 1200
オイルヒーター 1200
電気ポット 1200
グリル鍋 1000
電子レンジ 1000
電気ストーブ 1000
電気掃除機 1000
ドライヤー 800
トースター 800
電子カーペット 800
こたつ 800
温水便座 600
冷蔵庫 300
炊飯器 300
テレビ 300

消費電力の大きな電化製品の電源コードの束ねるときには、特に
気を付ける必要がありますが、連続して長時間使い続ける場合にも
注意してくださいね。

 

電源コードの意外な落とし穴

電源コードを束ねることの危険性についてお伝えしていますが、
束ねるとき以外の取り扱いで注意して欲しいことが4つあります。

ここにあげた注意事項は電化製品の取扱説明書に書かれている
場合もありますが、じっくり読んでいる方はあまりいないと
思います。

ほとんどの家電に共通している内容なので、ここで、改めて
じっくり読んでみてくださいね。

 

電源コードの上に物を乗せたり、固定しないこと!

ソファーの足で踏み続けた部分のコードの芯線が断線してショートした
火花が周囲の物に引火したことが原因で火災になった報告があります。

 

ねじったり、折り曲げたりを繰り返さないこと!

電源コードを使うたびに曲げたり伸ばしたりすることでコードの芯線が
断線することがあります。

断線する直前のショートの火花が燃えやすい物に引火してことが原因の
火災もあったそうです。

 

コンセントとプラグとの接続部分にホコリを溜めないこと!

トラッキング現象の写真

トラッキング現象(写真ACより)

コードのプラグをコンセントに差し込んだ部分のホコリが湿気を帯びて
電気が流れてしまうことでショートし、発火してしまうことがあるんです。
(トラッキング現象といいます)

コンセントがテレビや収納棚の裏にある場合はホコリが溜まりやすいので、
こまめに掃除することを忘れないでくださいね。

 

延長コードは電化製品の消費電力に合ったものを使用すること!

2口タップの延長コード

電源コードの長さが足りないときに延長コードを使用することが
ありますよね。

延長コードの定格消費電力を超える電化製品を接続すると、
延長コードが加熱・発火する危険があります。

延長コードを使う場合は使用する家電の消費電力を確認して
選んでくださいね。

定格消費電力が1500Wの延長コードが一般的ですが、延長コードの
タップの口数が多い場合には、その口数の合計した値が1500Wという意味に
なりますよ。

例えば、2口で定格消費電力が1500Wの延長コードに電気ストーブ
(1000W)とこたつ(800W)を接続した場合には延長コードに
1800Wの負荷がかかってしまうので加熱・発火の危険性があるんです。

 

束ねても危険のないコード!?

束ねても危険のないコード

あなたのお部屋には電源コード以外にもいろいろなコードがありますよね。

すべてのコードにたいして電源コードのように気を使って扱うのは
とても無理なことなので、あまり心配のないコードについても
お伝えしますね。

お部屋の中のほとんどのコードは電源コードのように危険なものばかり
ではありません。

しかし、無理な束ね方をすると通信に影響して音声や映像に雑音や
歪みが生じることがありますから、電源コードのように円を描くように
ゆったりと束ねることをお勧めしますよ。

実際にあなたのお部屋で見る危険のないコードは次のようなものです。

束ねても危険のないコード コードの用途
LANケーブル パソコンとモデム、ルーター、ハブなどをつなぐ通信配線です。
電話ケーブル(モジュラーケーブル) 光ファイバーコードの場合は曲げ半径を3㎝以上が必要
AVケーブル(audio/visualケーブル) 音声・映像の信号をやり取りするコードで、お部屋の中で一番多いコードですね。
(参照:AV端子 Wikipedia)
パソコンケーブル類(USBケーブル、充電ケーブルなど) これらのケーブルはあまり気を使わずに束ねても危険はほとんどありません。

 

 

電源コードが原因の火災事例

消防自動車とパトカー

東京消防庁によると東京都内で平成29年中に起きたすべての火災の
件数は4204件で、その内電気設備機器火災の件数は1152件だそうです。

そして、電気設備機器火災の1152件の中で電源コード部分から
出火した火災は40件なんですね。

数字の上では少ないかもしれないですが、間違いなく火災になって
しまう可能性があるってことです。

電源コード部分からの火災要因について「東京消防庁:出火原因別火災状況」の
一節から引用させていただきました。

電源コード部分から出火した火災の主な要因は、物に踏まれたり折れ曲がった状態で使用されていたためにコードの被覆が損傷したり、長年使用したことによる経年劣化により、短絡や半断線が発生して火災となるケースが大半を占めています。

電源コードを束ねたところから出火している場合というのは、
「折れ曲がった状態で使用」に含まれています

また、「Nite 独立行政法人 製品評価技術基盤機構」の「電源コードで火災事故」
の中で、火災原因を束ねたコードによるものについて説明していましたので、
一節を引用させていただきました。

概要:木造平屋建て住宅から出火、住宅の一部を焼き、左手にやけどを負っ た。

原因:定格電流10Aの延長コードでテレビ、電子レンジ、電気ポットなど10Aを超えるたこ足配線で使用して いました。また、コードを束ねた状態で使っていた ため、束ねた部分が発熱・発火して周辺に燃え広 がったものです。

 

まとめ

電源コードは電化製品を購入したときのように折り曲げて
束ねた状態で使用すると束ねた部分から発熱・発火する危険が
あります。

コードをぎっしりと密着させて束ねることでコードの発熱が
妨げられて、やがて煙が出て、ついには発火してしまうんです。

だからといって、電源コードを整理せずに無造作に放置して
おくことはコードを傷めることにもなり、半断線などによる火花が
周囲の燃えやすい物に引火する危険につながります。

なので、電源コードを束ねて整理したいときには、大きめの円を
描くようにゆったりと束ねるとコードの熱をスムーズに発散させる
ことができるようになります。

また、電源コード以外のコードについても円を描くように束ねることは
コードの性能を低下させることがなくなるのでお勧めしますよ。

あなたのお部屋のいろいろなコードを安全で綺麗に整理するときに、
この記事が参考になれば嬉しいです。。

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