おそばの旬はそばの実を収穫する時期のことで、季節でいうと
夏と秋の2回になります。
旬の季節に、収穫したばかりのそば粉で打ったそばを「新そば」
といい、そば通が待ちわびているおそばなんですね。
ちなみに、美味しいおそばのことを、挽きたて、打ちたて、
茹でたて、の「三たて」そばとよく言いますが、そば通に
とっては、獲れたてを加えて「四たて」そばなんです。
お蕎麦屋さんの店先に「新そば」の旗が出ていることがありますが、
「獲れたてのそば粉で打ったそばが食べられます」って知らせて
いるんですよ。
今回は、そば通が待ちに待っているおそばの旬について詳しくお伝えします。
また、おそばの旬は夏と秋なんですが、品種の開発でほかの季節にも
美味しいおそばが食べられそうなので、そのことについても紹介して
いきますね。
おそばの旬は夏と秋!美味しいのはどっち?
最近の品種改良によって、おそばの旬が増えつつあるのですが
今のところ、おそばの旬は夏と秋の2回と言って間違いは
ありません。
おそばには秋に旬を迎える「秋新そば」と、夏に旬を迎える「夏新そば」が
あるんですね。
秋に収穫したばかりの新そばなので「秋新」、夏に収穫した
新そばで「夏新」だそうです。
「秋新そば」は本州から九州の温暖地で栽培されていて、
9月下旬~11月中旬にかけて実を結ぶタイプの品種です。
「夏新そば」は本州の高冷地から北海道にかけて栽培され、
6月下旬~8月下旬に実を結ぶタイプの品種なんですね。
そば通に言わせると、香りが高く、味も格別なのは秋新そば
のほうで、夏新そばの香りと味は劣るそうですよ。
「夏蕎麦は犬さえ食わぬ」というような諺は夏新そばのことを
言っているのですが、栽培技術や冷蔵技術が発達していなかった
時代のことで、また季節的にも劣化しやすかったのです。
(出典:そばWikipedia)
そもそも、香りと味を楽しむおそばですから、異なる季節に
収穫されたからと言って比較しても意味がないですね。
つまり、秋には秋の香りと味があって、夏には夏の香りと味があるので、
それぞれの香りと味を楽しめばいいんですよね。。
「夏新そば」が不味いといわれるのはなぜ?
真夏の暑い季節に、冷たい水で、きりっと締めたざるそばを
食べたいというのはそば通でなくても、日本人なら誰でも思う
ことではないでしょうか。
なのに、夏に旬を迎える「夏新そば」がどうして「秋新そば」より
香りや味が劣ると言われてきたのでしょう?
実は、そばが実を結ぶ季節が梅雨に重なってしまうためなんですね。
つまり、降雨による品質低下の結果がそばの香りと味を低下させて
しまったというわけなんです。
(出典:食と農の扉vol.6 農林水産省)
また、雨の影響でそばの実が収穫前に発芽してしまう「穂発芽」
を多発させてしまうために品質が安定しないこともあるよう
です。
ざるそばなどの冷たいそばの場合、だし汁やトッピングでそばの
品質をごまかすことができないので、どうしてもおそば自体に、
香り高く美味しいことが求められてしまうんですね。
どうしても真夏に美味しいおそばが食べたい!?
夏が旬の「夏新そば」の香りや味の評価があまり良くないと
いうお話をしてきましたが、耳よりな情報を見つけましたよ。
真夏に、香り高く美味しいおそばを食べたいという期待に
応えるように『春のいぶき』という新しい品種のそばが市場に
出回り始めたようなんです。
『春のいぶき』は今までの夏に収穫するそばより穂発芽しにくく、
降雨による品質低下もほんのわずかだそうです。
麺にしたときの食味は従来の「夏新そば」であるキタワセソバ
より優っていて、香りも高いということです。
ちなみに、新品種である『春のいぶき』を開発・育生したのは
農研機構 九州沖縄農業研究センターというところで、そば農家さんでは
ありませんでした。
(出典:食 と農の扉vol.6 農林水産省)
さっそく、購入できないものか、と調べてみましたが、残念ながら
そばの実にしても、そば粉にしても入手する方法を見つけることが
できませんでした。
『春のいぶき』の種子は通販で購入できるようなのですが、きっと
そば農家さんのためなんでしょうね。
小麦粉の『春のいぶき』と間違えないで!
北海道産の小麦粉で『春のいぶき』という品種が通販で購入することが
できますが、そば粉の『春のいぶき』ではありませんから、間違えない
ようにしてくださいね。
冬のそばの醍醐味とは?
暑い季節に冷たいつゆで食べる「ざるそば」も魅力的ですが、
秋に収穫したばかりのそばが出回る冬そばの醍醐味も紹介しますね。
冬のそばには3つの醍醐味があるといいます。
1)秋の旬に収穫されたそばの実は冬の寒さに触れさせると甘さと
香りが強くなるようですよ。
2)そばを温めると甘みも増し、香りも立ってくるので、温かい汁ごと
すすり込む旨さは冬のそばならではの贅沢ですね。
3)冬に旬を迎える山海の食材をそばの具にすれば、最高のご馳走に
なるんではないでしょうか。
例えば、鴨(かも)、牡蠣(かき)、蟹(かに)、葱(ねぎ)などは
冬が旬の食材なんですよ。
暑い季節に冷たいつゆで食すざる蕎麦も魅力的だが、蕎麦が旨さの本領を発揮するのは、実は冬なのである。
(出典:「冬蕎麦が旨い」サライ2016・1月号)
さて、あなたは夏のそば、それとも冬のそば、どちらが好みですか。。
乾麺で本格的におそばを味わう!
そばの乾麺は保存がきいて、好きなときにいつでも茹でたてが
食べられる便利な食材です。
初めてのお蕎麦屋さんで手打ちそばをいただいたら、香りも味も感じら
れないものを出されて、がっかりしたという経験はありませんか?
それだったら、秋の旬の時期に収穫したそば粉で乾麺にした
もののほうが香りも味も良いそばがいただけます。
よく、乾麺は生麺に比べて美味しくないという批評もありますが、
乾麺を不味くしているのは茹で方なんですね。
美味しい茹で方についてはプロの方々の解説がネットで公開されて
いますから、そちらをご覧くださいね。
解説する方によって茹で方に多少の違いはありますが、絶対に
手を抜いてはいけないポイントが2つあるんです。
乾麺を美味しく茹でる2つの鉄則
①家にある一番大きな鍋を使って、たっぷりのお湯で温度が下がらない
ように少量づつ茹でる。
②商品の説明書きに書かれている茹で時間を厳守すること。
ちなみに、乾麺は「二八そば」か「十割そば」だと香りも味も
良いですし、そば湯も楽しめますよ。
また、乾麺も生麺も栄養価については、ほとんど違わないので
そばの豊富な栄養は乾麺でも摂れますから安心してくださいね。
まとめ
おそばの旬の季節は秋と夏の2回で、その時期には収穫したばかりの
そばの実やそば粉が出回ります。
よく、お蕎麦屋さんの店先に「新そばあります」の旗が出ている
ので、目印にしてくださいね。。
けれど、秋と夏の旬の季節でしか、美味しいおそばが食べられ
ないかというと、そんなことはなくて春でも冬でも美味しい
おそばを食べることはできます。
いつでも、好きなときに食べられる乾麺のそばを利用すれば
家庭でも茹でたてが食べられますね。
また、あまり美味しくないと言われている夏に旬を迎える
新そばも、新しい品種の開発によって、真夏でも美味しい
おそばが普通に食べられる日も近いようです。
今後、美味しいおそばが一年を通して食べることができるように
なれば、「おそばの旬」って意味がなくなるかもしれませんね。。
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