見かけは小っちゃなミョウガですが独特の香りと辛みに加え、特有の紅色が
料理を華やかにしてくれることから、薬味やつまに使われていますよね。
普通、薬味といえば、ネギ、しょうが、わさびなどがあげられるんですが、
ミョウガはちょっと扱いにくいという感じがしませんか?
旬の時期にしか市場に出回らないため、使うことに慣れていなかったり、
どんな栄養があるのかも知られていないからかもしれませんね。。
しかし、実は、ミョウガに含まれる成分はバラエティに富んでいて、
栄養価が高く、ミョウガにしか含まれない特有の成分もあるんです。
なので、今回は、意外に知られていないミョウガの成分とその効能を
紹介しますので、香りと風味だけではないミョウガの奥深さを感じて
いただけたら嬉しいです。
ミョウガに含まれるバラエティに富んだ成分とは?
見かけは小柄なミョウガですが、実は、バラエティーに富んだ、
いろいろな成分が含まれています。
ミョウガの成分表を見ていただくと分かるんですが、ほとんどの
ビタミン・ミネラル類が含まれているんですね。
また、ミョウガの成分表にしょうがの成分も併記している理由は
ミョウガが「ショウガ科ショウガ属」に属していて、しょうがの仲間に
分類されているからです。
ミョウガとしょうがの成分をざっと見比べてみると、確かに似ていることが
分かります。
ミョウガとしょうがの関係についてはあとの方でお話していますから、
ぜひ、続けて読んでくださいね。
ミョウガとしょうがの成分表(可食部100g当たり)
栄養素 | ミョウガ(花穂、生) | しょうが(根茎、生) |
---|---|---|
エネルギー /Kcal | 12 | 30 |
水分 /g | 95.6 | 91.4 |
タンパク質 /g | 0.9 | 0.9 |
脂質 /g | 0.1 | 0.3 |
コレステロール /mg | 0.0 | 0.0 |
炭水化物 /g | 2.6 | 6.6 |
食物繊維水溶性 /g | 0.4 | 0.2 |
食物繊維不溶性 /g | 1.7 | 1.9 |
ナトリウム /mg | 1 | 6 |
カリウム /mg | 210 | 270 |
カルシウム /mg | 25 | 12 |
マグネシウム /mg | 30 | 27 |
リン /mg | 12 | 25 |
鉄 /mg | 0.5 | 0.5 |
亜鉛 /mg | 0.4 | 0.1 |
銅 /mg | 0.05 | 0.06 |
マンガン /mg | 1.17 | 5.01 |
ヨウ素 /μg | 1 | 0 |
セレン /μg | 1 | 1 |
モリブデン /μg | 8 | 6 |
ビタミンK /μg | 20 | 0 |
ビタミンB1 /mg | 0.05 | 0.03 |
ビタミンB2 /mg | 0.05 | 0.02 |
ナイアシン /mg | 0.4 | 0.6 |
ビタミンB6 /mg | 0.07 | 0.13 |
ビタミンB12 /mg | 0.0 | 0.0 |
葉酸 /μg | 25 | 8 |
パントテン酸 /mg | 0.20 | 0.21 |
ビタミンC /mg | 2 | 2 |
βカロテン当量 /μg | 31 | 5 |
食塩相当量 /g | 0 | 0 |
栄養素 | ミョウガ(花穂、生) | しょうが(根茎、生) |
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)(文部科学省)
ビタミン・ミネラルの成分
ミョウガに含まれている成分の約95%は水分ですから、
100gのミョウガのカロリーは12kcalしかありません。
なので、ダイエットなどでカロリーを気にしている人には安心な食材
なんですが、実際にはミョウガをそんなにたくさん食べることはない
ですよね。
ミョウガにはビタミン、ミネラル、食物繊維、脂質などのほとんどの
栄養成分が含まれていて、特にミネラルのバラエティさは野菜のなかでも
特徴的です。
また、ミネラルの中でも、カリウム、マグネシウム、マンガン、モリブデンの
4つの含有量の多さが目立っていますよ。
ミネラルとは、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンとならび五大栄養素の1つです。ミネラルは人の体内で作ることはできないため、毎日の食事からとる必要がある。
出典:ミョウガ(Wikipedia)
ビタミン・ミネラル以外の成分
ビタミンやミネラルなどの栄養素のほかに、ミョウガ独特の香りや辛みを
生み出す成分が含まれています。
香りは「アルファピネン」という精油成分によるもので、辛みは
「ミョウガジアール」という成分によって生み出されています。
また、ミョウガ特有の紅色は「アントシアニン」という色素成分によるもの
なんですね。
精油とは
精油は植物が産出する揮発性の油で、それぞれ特有の芳香をもっています。(エッセンシャルオイルとも言う)
参考資料:精油 Wikipedia
:ミョウガの辛味関連化合物に関する研究(日本調理科学会誌)
ミョウガに含まれる成分の効能は?
ビタミン・ミネラルなどの効能
ミョウガにはほとんどのビタミン・ミネラルが含まれていますが、
ほかの野菜に比べて特に多く含まれている4つのミネラルと食物繊維の効能を
お伝えしますね。
カリウム
わたしたちの体内の水分を調整する作用があります。
体内の余分な塩分を排出することで、血圧を下げたり、むくみをとったり
してくれます。
マグネシウム
体内でさまざまな酵素反応に関与していますが、特に血液の循環を
スムーズにする必須のミネラルです。
不足すると疲れやすくなったり、イライラしたりする症状が現れるようです。
マンガン
マンガンも体内で酵素の働きを助ける働きをしているので、
健康には欠かせないミネラルの一つです。
モリブデン
体内で酵素の働きをサポートするミネラルですが、主に尿酸を
作り出す酵素に関与しています。
食物繊維
食物繊維は、腸内環境を整えて便通を促進してくれる作用があることは、
よく知られていますね。
ダイエットに関心のある方であれば、最も関心のある成分ですよね。
ビタミン・ミネラル以外の成分の効能
ビタミン・ミネラルとは別に、ミョウガ独特の香り、辛みと特有の紅色を
生み出している3つの成分の効能についてお話しますね。
アルファピネン(α-ピネン)
ミョウガ特有の香りを生み出している成分です。
アルファピネンはミョウガが持っている精油成分で、血液の循環を促進する
作用があるため、成人病や冷え性の予防が期待できます。
また、アルファピネンの香りで脳が活性化するために、眠気を覚ましたり、
リラックスする効果があると言われていますよ。
ミョウガジアール
ミョウガのおだやかな辛みはミョウガジアールという成分によるもので、
抗菌作用があります。
また、風邪のときの喉の痛みを緩和してくれたり、口内炎を和らげるのに
効果があるといわれています。
アントシアニン
ミョウガ特有の紅色を出している成分です。
「視力回復によい」「動脈硬化や老化を防ぐ」などと言われてますが、
人への有効性を示すデータはまだ無いようですよ。
(出典:アントシアニンWikipedia)
ミョウガの「薬膳」としての効能
ミョウガの成分の話をしているのに、なんで薬膳が出てくるの、と
思われたかもしれませんね。
ミョウガを料理に加えることで、その料理の健康への効果を高めてくれますが、
これがミョウガの薬膳としての効能です。
どういうことなのかというと、例えば、冷や奴の薬味にミョウガを
添えたときの薬膳の効果は次のようになります。
夏の暑い日に冷や奴をいただくとき、よく冷えたお豆腐だけでは体が冷えて
しまいますが、ミョウガを薬味に添えることで体が冷えきってしまうのを
防いでくれるんです。
これがミョウガの薬膳としての効能なんですね。
ミョウガは体が冷えるのを防いでくれるだけではなく、
次のような薬膳効果もあるといわれていますよ。
・ホルモンのバランスを整えてくれるので、生理不順や
更年期障害を予防する。
・血行を良くして体を温める作用で冷房による夏バテを
予防する。
・胃腸に作用して、食欲増進や消化を促進する。
などです。
ここで「薬膳」について一言
薬膳のことをごく簡単に言うと、体の不調を治療するというのではなく、
健康維持・体質改善を目的にした料理のことをいいます。
薬膳というと漢方薬などの生薬を思い浮かべてしまうんですが、普通の食材でも
使い方を工夫することで薬膳の料理が作れるんですね。
なお、薬膳の効果はミョウガだけではなく、普段食べている食材の一つ一つに健康や
美容の効果があります。
ミョウガとしょうがの関係
ミョウガの由来について、「ミョウガ:Wikipedia」から一部抜粋させていただきました。
大陸からしょうがとともに持ち込まれた際、香りの強い方を「兄香(せのか)」、弱いほうを「妹香(めのか)」と呼んだ。これが後にショウガ、ミョウガに転訛した、との説が有力である。
そこで、ミョウガの成分としょうがの成分を見比べられるように
前記の成分表の中で並べてみたんです。
食用にしているのはミョウガは蕾(つぼみ)の部分、しょうがは根っこの部分
なのですが、蕾と根っこという異なる部位の成分なのに本当によく似ているんです。
でも、香りや風味、色合いがまったく違うのは、栄養成分とは異なる
香り成分や色素成分によるためなんですね。
見た目で似ていることといえば、両方とも成長したときの葉っぱが
区別ができないくらいよく似ていること、もう一つはしょうがの茎の
根元の紅色がミョウガそっくりなのは興味深いです。
やはり、ミョウガは分類(ショウガ科ショウガ属)の通り、しょうがと同じ仲間
なんですね。。
ミョウガで注意すること
ミョウガを食べるときに気を付けていただきたいことに「寄生虫」、「アレルギー」、
「食べ過ぎ」の3つがあるので、詳しくお話ししますね。
ミョウガに付く寄生虫
ミョウガには肝蛭(かんてつ)という寄生虫が付着する場合があります。
この肝蛭は水辺のセリやクレソンなどの野草に付着していることが多い
寄生虫ですが、まれにミョウガにも付くことがあります。
この寄生虫が体内に入ると中等度の肝機能障害を起こす原因になる
ことがあるんです。
ミョウガは生の薬味でいただくことが多い香味野菜ですから、
よく洗って調理するように気を付けてくださいね。
肝蛭は体長2~3cmで、木の葉の形をした寄生虫で、比較的大きいため、
付着していれば気付くはずですよ。
ミョウガアレルギー
ミョウガはアレルギーを起こすことの少ない食材なんですが、
食べて不快な症状が現れたときにはアレルギーの可能性があります。
アレルギーは体質だけでなく、その時の体調によっても現れる場合が
ありますから、アレルギーと判断することはなかなか難しいかもしれません。
アレルギーがあって、不快な症状を経験しても、どうしてもミョウガが
食べたいというときには、少しづつ食べて慣れていく方法もあるんですが、
そこまでして食べなければならない必要はないのでは?
ミョウガの食べ過ぎ
ミョウガには栄養成分のほかに、香り成分や辛み成分などの
やや刺激のある成分が含まれています。
刻んだ後で数分でもアク抜きをしたり、加熱調理するとだいぶ刺激は
軽減されますが、たくさん食べることはお勧めしませんよ。
ミョウガを食べたときに、たまに下痢をすることがあるのは刺激の
ある成分によることが十分考えられるんです。
ちなみに「みょうがを食べると物忘れがひどくなる」という迷信は、
みょうがは刺激が強いので子供にたくさん食べさせないようにと
親たちが言い出したという説もあるんですよ。。
まとめ
薬味やつまによく使われる見かけは小っちゃなミョウガですが、
ビタミンやミネラルなど、含まれる成分はバラエティに富んでいるんです。
特に、カリウム、カルシウム、マグネシウム、モリブデン、リンなどの
ミネラルの含有量の多さは野菜の中では目立っていますよ。
また、栄養成分のほかに、みょうが独特の香りや辛み、そして特有の
紅色を生み出している成分として、アルファピネン(α-ピネン)、
ミョウガジアール、アントシアニンが含まれています。
そして、アルファピネンやミョウガジアールは香りや辛みの成分ですが、
それぞれ血液の循環を良くしたり、口内炎を軽減してくれる作用も
あるんですね。
ただ、ミョウガの特色を生み出しているアルファピネンなど3つの成分は
やや刺激があるので、食べ過ぎないようにしてくださいね。
また、ミョウガは分類で言うと「ショウガ科ショウガ属」ですが、
しょうがとは見かけや香りや風味は全く違うのに含まれる成分を比べて
みると、確かに同じ仲間なのは間違いなさそうで
もしスーパーでミョウガを見つけたら薬味でもいいんですが、
わたしの大好きな酢味噌和えを、ぜひ、いただいてみてくださいね。。